俺はもう違う
アバサ「僕はね、君のようになりたかったんだ」
トリカジ「なんだよ急に、気持ち悪いな」
コーヒーの苦味か、僕の発言が原因なのか分からないが彼は顔をしかめる
トリカジ「オメーの言う『なりたかった俺』はもういないんだぜ」
アバサ「えっ」
トリカジ「長い付き合いだから話す…変わっていない訳がないだろ?」
ゆっくりと、左足を僕に見せ付ける
言葉を失った
下手に言うとまずいような、お互い無言で気まずい空気が流れる
アバサ「それって…」
トリカジ「見て分かるだろうが…俺はもう違う、ただの荷物運びだ」
笑いながら答えたが、どこか悲しげな表情を見せる
トリカジ「どうせ隠しようがない、いつかバレる事だからすべて話してやるよ」
三ヶ月前に左足を失った事、書店をクビになった話…これまでの事をすべて話してくれた。
アバサ「ってことは…あのニュースはお前の」
トリカジ「そうだな、クズに相応しい最後だろ…やりすぎだとは思うがよ」
そういいつつ、周りを確認して銃の装弾数を調べているのか四発かと呟く
アバサ「おいおい俺は警備員だぞ」
トリカジ「だからなんだよ」
確かに、警備員といっても本職の警官じゃない
この自動車会社に勤務している社員みたいなもんだ…が
それでも普通目の前で銃を出すだろうか