3話 敵国の刺客
焦土化した小さな村に小さなバス亭
待ち合わせはここの筈だ
バス亭のベンチに老人が1人
老人「座りなさい、話はそれからじゃ」
言われた通り向かいのベンチに腰を掛けた
老人「君は・・・ニュースを見ているかのぅ?
世の中の出来事を知っているかという事じゃ」
老人は話を続ける
老人「私はニュースは余り見ないし新聞だって取っていない
しかしこの私が知っている最も新しく最も衝撃的なニュース
この村が敵国である『ウォールアイ』と戦争をし、負けたという事じゃ」
確かここから15キロ離れた所にある大都市ウォールアイ
今、最も勢力がありこの老人もその被害者だいう事だろうか
老人「ウォールアイ都市を放って置くのは危険
勢いのある今のうちに押さえないとやっかいじゃ、そのために君を呼んだ」
老人の話を一通り聞いて答えた
ミーバイ「何か案があって呼んだんですよね
まさか、自分1人で軍隊を潰せと」
老人「ミーバイ君、流石にそれは無いじゃろう」
笑いながら一枚の写真を自分に見せた
写っていた男はいかにも性格が悪そうな軍人
軍服に90567号とプレートに記されている
老人「その男の名前はトリカジ、最近ウォールアイ軍を脱退したそうな
こいつから空になるまで情報を聞き取りしつくすんじゃ」
どうやらこの村の被害者ではないらしい
しかしどこかの敵国の人間だろう
彼がどこの国の人間で、どんな名前か自分には関係ない
この写真の人間を探し出し、情報を搾り取る事が使命だ
ミーバイ「一週間後、この場所で」
写真と名前を頭に記録し彼に返した
自分はベンチから離れウォールアイへ向かった
―――ウォールアイ都市のボロアパート4階401号室
俺は今逆境にいる
今度は最低賃金以下ではない条件で
職安に通う日々だが何故か見つからない
そんなに望んでいるハードルは高くない筈
何故だ、何故なんだ
金もそう多くない
何度も財布を開いては確認する、一週間辺りが瀬戸際って処か
あの借金取りから金を盗めばよかった
でもそれだと窃盗罪で逮捕される
前科があるとなお更職に就けない
そう思い銃を手の平でくるくる回しながらボーっとしていた
見た目はハンドガンであり
弾丸は10発入っている
この街は一般市民には銃の許可は下りず
今持っているのは軍で使う銃と別のタイプだ
恐らく、治安の悪いどこかの海外から輸入したものであろう
俺は破片が散らばったメールボックスを見た
メールを送ってきた女の言うとおり物騒な世の中だ
護身用として裏のポケットに引っ掛けた
それに何か胸騒ぎがする
―――ウォールアイ都市外れの道
外は日が落ちていた
街路照明は無く辺りは漆黒に近い
後ろを向くと淡い光で無数の建物が輝いている
そのギャップでよりここが哀れに見える
仕事上、体をどんなに改造してきたか
どんなに暗かろうと自分には関係ない
必死で逃げようが、自分には関係ない
「借金取りめ、なんでばれたんだこっちへ来るな!」
1人の太った男を片手で持ち上げた
ミーバイ「答えろ、トリカジをいう人物を知っているだろう」
本屋の店主「離してくれ苦しい!俺をどうする気だ」
ミーバイ「質問を質問で返すな、答えるんだ」
トリカジという軍人の住んでいた家を探したが既に居なかった
どうやら引っ越したらしい
自分のような人間に見つからないようにするため隠れたのか?
用意周到である、なら身内から潰していけばいい
本屋の店主「トリカジなら知っている!金ならいつか払う!助けてくれ!」
ミーバイ「今どこに居るか言え」
本屋の店主「知らないそんなのしらん」
どうやら本当らしい、なら用済みだ
発火し、持ち上げた男は断末魔を叫ぶ
自分の体は人間じゃない
犠牲にして仕事のための造りになっており
あらゆる状況を経験して変えて来た
今度の仕事もワケは無い、片付けよう