うさぎ
掲載日:2026/02/15
毎日ぼくは檻のなかで目がさめる
変なかたちの蛇口から水をのんだり
がちゃがちゃ音をたてたりしていると
きみが気づいて扉を開けてくれる
ぼくは外に出てきみについていく
足のまわりでぐるぐる走ったり
ひざに乗ったりすると
おでこを撫でてもらえることがある
ぼくは目を細めて
全身できみを感じる
きみが家からいなくなるときは
ぼくも檻に入る
でもぼくは不安になったりしない
ここは待っていれば必ず
きみが帰ってくる場所だから
だからぼくは眠る
檻のなかでも心地よくふかく
ぼくはきみの家族のところには行かない
でも掃除をしてくれるから
そのあとは撫でさせてあげる
支えてくれてありがとうって
ぼくがここで過ごせる時間を
きみが帰ってきた
扉をあけてくれてありがとう
また会えてほんとにうれしい
あと何回扉を開けてくれるのかな
ぼくは知ってる
ぼくの時間はきみよりずっと短いことを
そのことはぼくを安心させる
もう二度とひとりで取り残されたりしないから
いつかぼくの動きはにぶくなって
ごはんが食べられなくなって
きみのこともよく見えなくなって
でもきみにおでこを撫でてもらいながら
ゆっくり意識が遠のいていくんだ
神さま、ほんとうにありがとう
うさぎになれてほんとうによかった




