nO.2:お金ない
SNSに「誰か私を殺していただけませんか。」といった文面を投稿するも、荒らししか湧いてこないコメント欄。しかし、そこにとあるコメントが記される。
———誰か私を殺していただけませんか。
そう何処かありきたりな文面をSNSの「ツエッテー」に投稿する。なんだか最近巷ではツエッテーの名前が変わってしまうとかなんとかでネットが騒がしいらしい。
ソファに寝転びながら、役目のない左手を振り回す。しばらくすると、一体どういった内容のハッシュタグで見つけてくるのかわからないが、すぐさまリツエッテが返ってくる。
『殺してほしいとかwwwそこらへんで勝手に野垂れ死んどけよw』
『誰かに頼まないで勝手に自殺でもしてろよ。がちうざ』
『3万円もらえる動画上げてます』
こんなフォロワー数一桁のアカウントでも荒らしは現れるのだと、命音は何処か覚束ない思考を巡らせた。
急に自分が馬鹿らしくなり、命音はアプリを終了した。と、すぐに通知音がなる。
『どこで会えますか?』
———心臓が、跳ねた。
DM画面に移動し、狙いの定まらない指先で必死に文字を打つ。
『関東方面ならどこでも行けます。』
『では那型駅はどうでしょう?』
『分かりました。』
近くにあったローテーブルに携帯を投げ捨て、命音は思うように動かない体を起こした。
———あぁ、私、死ねるのか。
まだその時でもないくせに、命音の身体は不自然に揺れていた。
この震えは感動か、希望か。それとも、場違いに湧いて出てきた恐怖か。
財布の中の残金を確認しなければと、命音は財布の中を見た。
「130円しかない...」
死ぬことさえも上手くいかないと、命音はため息を吐いた。
がんばる
がんばるぞ
がんばるぞい