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nO.1:漠然とした不安
心に闇を抱えた少女・命音と、この世の全ての快感を知りたいが為に殺人を望む青年・哪吒埜を描いた短編小説です。初投稿です。
———いつ、だっただろうか。
特に何もなかった。そりゃそうだ。
いつだって私の前に後ろにとただ空虚な闇が広がるばかり。
———絶望を味わったのは。
誰も悪くない。誰も悪くない。本当にそう。
悪いのはただ一人。
———甘美な香りを感じようとして、
足踏みすら怠った私の、罰か。
———手を伸ばした先は、ただひたすらに黒。
何もない。もう私には何もないんだ。
この両手に何も抱えることすら出来やしないんだ。
だから
もう私を救おうとしないでください。
がんばるよ
がんばるぞい