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恩人
「――ところで、優月ちゃん。僕としては本当に有り難いし、とても嬉しいんだけど……その、本当に無理する必要はないんだよ? 優月ちゃんだって、勉強とかで疲れてるだろうし」
「ううん、私は大丈夫。それとも……嫌? こうして、私が勝手に先生の分も作るのが」
「あっ、ううんそうじゃない。さっきも言った通り、僕としては本当に有り難いしとても嬉しい。……ただ、優月ちゃんが大変じゃないかなって思っただけで」
「……そっか、それなら良いんだけど。とにかく、私のことは気にしないで。先生の方がずっと大変なんだし、私が好きでやってるだけなんだから」
「……そっか、君がそう言うなら……ありがとう、優月ちゃん」
それから、15分ほど経て。
そんな、もう幾度交わしたかも知れないやり取りを交わす私達。ほんと、相変わらずだなぁ先生。別に気にしなくて良いのに。先生の方がずっと大変なんだし……それ以前に、先生は私の恩人なのにね。