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復讐の果てに  作者: 暦海


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贖罪

「……でも、先生。なんで、あの時あの場……ううん、やっぱり何でもない」

「……そっか」



 なんで、あの時あの場所に――そう尋ねようとして、止める。……そんなの、聞くまでもないよね。甚く心配をかけてしまったと、今更ながらに猛省する。


 ……さて、今日はもう帰ろうかな。私としては、まだまだ話すことはある。あり過ぎて、溢れそうなくらい。でも、流石に今は先生の負担が――



「……その、優月ゆづきちゃん。本当に、今更ではあるんだけど……本当に、ごめん」


「…………へっ?」


 そんな思考の最中さなか、不意に届いた先生の謝罪。……いや、謝るのは私の方。私の方、なんだけど――だけど、さほどの驚きはなくて。そして、そんな彼に対し、徐に口を開いて――



「……やっぱり、そうだったんだね。大切な両親の命を奪った、憎んでも憎みきれない例の夫婦――貴方は、その二人の子どもだったんだね」



 そんな私の言葉に、甚く申し訳なさそうに頷く芳月ほうづき先生。でも、当然ながら彼が悪いわけじゃない……と言うか、ある意味では彼も被害者だと思うし。


 さて、改めて説明すると――七年前、私の両親は交通事故にてその生涯に幕を閉じた。そして、その加害者たる夫婦の一人息子が彼――芳月千蔭(ちかげ)というわけで。


 でも、繰り返しになるけど彼が悪いわけじゃない。だから、これが全く以て不当であることは自分でも分かっていた。それでも――



『――もし、嫌でなければ……僕と一緒に暮らさないかな、優月ちゃん』



 ――七年前、私にくれた先生の言葉。それが、大切な両親を奪われ、もはや居場所なんてなかった私に対する彼なりの贖罪であることは分かっていた。

 ともあれ……そんな、まさしく降って湧いたような幸運に……これが、絶好の機会とばかりに――私は、復讐を決意した。







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