誕生日プレゼント
「――へぇ、素敵なところだね」
「へへっ、そうでしょ?」
それから、数日経た休日にて。
そう、感心したように呟く美男子、芳月先生。今、私達がいるのは家から三駅ほどの所にある雑貨屋さん――路地裏にひっそりと佇む、白を基調とした心落ち着く小さな雑貨屋さんで。……うん、今更だけど路地裏好きだね、私。
ともあれ、目的はと言うと――ほどなく来たる、私の誕生日プレゼントを購入すること。二日前、先生に欲しいものを尋ねられ、それなら一緒に行こうと提案し、少し前から気になっていたこのお店へと案内したわけで。
「でも、優月ちゃん。今年は随分と早いみたいだけど、何か理由でもあるの?」
「……あっ、えっと……駄目?」
「ううん、駄目じゃないよ。ただ、どうしてかなと思っただけだから気にしないで」
店内を少し入った辺りで、ふとそう問い掛ける芳月先生。少し躊躇いつつ、質問で返してしまう結果になったが、いつもの穏やかな笑顔で答えてくれて……ふぅ、良かった。
ところで、言わずもがなかもしれないけど……早いと言うのは、プレゼントの時期について。と言うのも、私の誕生日はまだ二週間ほど先であり、今までこんなに早い時期に求めたことは一度もなかったから。だけど……まあ、今年に関しては多少なりとも理由があって。




