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復讐の果てに  作者: 暦海


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31/46

……でも、そっか。

 ともあれ、そんなこんなで一戦目――先輩曰くウォーミングアップを終え、いざ勝負の二戦目へ。このくらいが妥当じゃない? いえ、それはつけ過ぎです――なんて、ハンデに関しそんな取り留めもないやり取りを暫く続け、最終的に私のスコアが先輩のスコアの半分を超えれば私の勝ち、という結論にて合意に至ったわけで。例えば、先輩が200点だったら私は101点を超えれば私の……いや、要らないよねこの説明。ともあれ、その結末は――



「――ハッハッハ。まだまだ修行が足りないね〜優月ゆづきたん?」

「……別に、今日は調子が悪かっただけで……」



 黄昏に染まる空の下。

 帰り道、バシバシと私の背中を叩きつつそんな戯言ことを宣う浦崎うらさき先輩。

 あれから、3回の勝負――なので、回数自体は計4回なのだけど――ともあれ、3回の勝負をした結果、私の3敗……まあ、言わずもがな全敗というわけで。



「あれ〜、あの時はそんなこと言ってたかなぁ? 流石にそれはちょっと見苦しいかな〜優月たん?」

「…………くっ」


 すると、私の返答に何とも愉しそうな笑顔で応じる浦崎先輩。……いや、存じてますよ。自分でも苦しいって。……ただ、それにしてもウザいなその呼び方。


 ……ただ、見苦しいのは承知だけど……別に、手も足も出なかったわけじゃないんだよ? 特に、最後のゲームはあと1回、1回だけストライクが出れば勝て……うん、見苦しいね。でも、今後こそは一矢報い――



「――どう? ちょっとは元気になった? 優月」

「…………へっ?」



 卒然、思い掛けない問いに目を丸くする私。すると、すっと微笑む浦崎先輩。そして、


「いや、気のせいかもだけど……ここ最近、なんか元気ないなぁ、なんて思ってたから」

「……先輩」


 そう、少し躊躇いがちに告げる。……確かに、そうかも。美波みなみのこと、それから――


 ……でも、そっか。だから、突然ボーリングに行こうなんて……私を、少しでも元気づけるために――


「……その、ありがとうございます先輩。お陰さまで、少し元気になれました」

「……そっか、それなら良し!」


 そう、微笑み伝える。すると、ややあって彼女はいつもの笑顔を浮かべてくれた。



「……ところで、浦崎先輩。先輩って、誕生日いつですか?」

「……へっ?」


 その後、ややあってそう尋ねてみる。すると、今度は先輩がポカンと目を丸くする。まあ、突然にもほどがあるしね。

 だけど、ややあってニコッと笑みを見せる先輩。そして、


「あっ、もしかしてお祝いしてくれるとか? じゃあ、エルメルのバッ――」

「それでは今のお話はなかったことに」

「ああごめんごめん冗談だって! 12月! 12月15日だよ、優月」

「……なるほど、もうすぐですね」

「まあ、もうすぐって言ってもまだ一ヶ月以上あるけどね。ともあれ、お祝い楽しみにしてるよ、優月?」


 そう、ニコッと人懐っこい笑顔で告げる先輩。そんな彼女に対し、私は――


「……まあ、過度な期待はしないで頂けると」


 ――そう、ぎこちない笑顔で告げた。







 


 

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