公平?
「――ところで、優月。さっき久しぶりって言ってたけど、実際どのくらい行ってないの?」
「……えっと、そうですね……かれこれ、八年くらいでしょうか」
「わぁ、それはほんとに御無沙汰だね」
入念な準備運動をしつつ、ふとそう尋ねる先輩に記憶を辿りつつ答える私。確か……九歳の夏休み、両親に連れて行ってもらったのが最後で。……そう、あれが最後で――
「……優月?」
「……へっ? ああいえ何でも!」
「……そう? だったら良いけど」
すると、私の様子に何かしら察したのだろう、少し心配そうに尋ねる先輩。そんな彼女に慌てて答え、ブンブンと頭を振る。……うん、今は切り替えなきゃ!
「……さて、さっそく始めようかなと思うけど――やっぱり、私達と言えば勝負だよね?」
「……まあ、やっぱりそうなりますよね」
それからややあって、いつもの快活な笑顔でそう問い掛ける浦崎先輩。まあ、さっそくというわりにはわりと長いこと準備してた気もするけど、それはともあれ……うん、やっぱりそうなるよね。ただ――
「ああ、大丈夫だよ優月。流石に、そんだけ御無沙汰の優月に純粋なスコア勝負はしないから。ちゃんと相応のハンデはつけるよ。然るべき差はつけてこそ、公平ってものだからね」
「……む、言いますね」
そう、何とも余裕の窺える笑みで告げる先輩。ただ、少し悔しくはあるものの、彼女の言葉を覆すほどの実力がないであろうこともまた事実で――
「……ん?」
そんな私の思考が、ピタリと止まる。何やら、徐に鞄から何かを取り出さんとする先輩の姿が映ったから。まあ、それは良いのだけど……けど、そう言えば普段あったっけ? あんな鞄。
すると、私の様子から察したのか、そんな疑問に答えるように彼女は口を開いた。
「ああ、これ? もちろん、マイボールだよ」
「いやずるくない!?」




