何のこと?
「――いやー久しぶりだなぁここに来るの。よっしゃ、今日は泳ぐぞぉ!」
「ふふっ。張り切ってますね、先輩」
それから、数日経て。
そう、いつもながらの明るい笑顔で言い放つ美少女、浦崎先輩。そんな彼女の様子に少し可笑しく、そして微笑ましくなる私。
さて、そんな私達がいるのは地元のプール――トレーニングジムに併設されているのだけど、別途料金を支払えばジムの会員でなくても使用できる温水プールで。
……まあ、それはそれとして。
「……あの、どうかしましたか? 先輩」
そう、躊躇いつつ尋ねてみる。と言うのも――どうしてか、さっきから何処か怪訝……と言うか、呆れたように私をじっと見ているから。いや、正確には私の――
「……あのさ、優月。他人のスタンスに、私があれこれ口出しするのもどうかとは思うんだけど……流石に、もうちょっと何かなかった?」
「…………えっ?」
そう、表情に違わぬ呆れた口調で尋ねる浦崎先輩。そんな彼女の視線は、胴体――余すところなくスクール水着に覆われた、私の胴体に向けられていて。
「……えっと、何か問題でも……?」
「……いや、問題っていうか……」
少し困惑しつつそう尋ねると、同じく少し困惑した様子で呟く浦崎先輩。……えっと、結局のところ何が問題なのだろ……あっ、ひょっとして実は規則違反だったとか――
「……うーんとね、何か勿体ないって言うか……まあでも、優月らしいか」
そんな懸念が過った中、珍しくもたどたどしい口調でそう話す先輩。……勿体ない? いったい、何のことだろ……うん、まあいっか。それはそうと――
「……あの、浦崎先輩。私の方からもお伺いしたいのですが、それは……」
「ん、これ? うん、最近買ったんだけどどう? 格好良いでしょ?」
少し躊躇いがちに尋ねてみると、何とも眩い笑顔で尋ね返す浦崎先輩。そんな彼女が纏っているのは、競泳水着――それも、素人目からも上等なものと窺える本格的な代物で。……うん、ほんと何処までも本気だよね、先輩。まあ、凄いけども。




