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復讐の果てに  作者: 暦海


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20/46

協力

「…………えっと」


 私の問いに、少し目を逸らし呟く美波みなみ。重くなったわけではないが、先ほどまでの明るい雰囲気くうきはピタリと止んで。


 大事な話がある――それが、あの通話にて伝えられた美波の用件だった。尤も、それは先ほどのメンバー発表の話であった可能性もあるし、もちろんそれならそれで良い。と言うか、むしろそうであってほしいくらいで。


 だけど……少なくとも、私に告げた大事な話というのが別にあることは、ここまでの彼女の様子からも察せられたし――それに、今の反応で確信に至った。


 すると、暫し躊躇していた美波だったが、覚悟を決めたようで私を真っ直ぐに見つめる。そして――



「……優月ゆづきに、協力してほしいの。私が、りょうと付き合えるように」



 そう、甚く真剣な表情かおで告げる美波を無言で見つめる私。陵、とは佐伯さえき陵――美波と同じ二年三組で、男子バレー部に所属する甘いマスクの男子生徒だ。私自身よく知らないけど、私のクラスでも主に女子の中で度々話題に上がるのを耳にする。


 ともあれ……さて、何と答えるべきか。いや、協力したくないわけじゃない。親友の大切な恋心おもいなのだし、むしろ全力で協力したい。……だけど――



「……えっと、駄目?」


 すると、逡巡する私の様子に不安そうに尋ねる美波。いや、駄目なわけじゃない。繰り返しになるけど、気持ち的には全力で協力したい。


 ただ……今、彼女の申し出を承諾してしまうと、非常に大きな課題が生じてしまうわけで。いや、例え承諾せずとも、今後と美波との関係を考えるとあの展開はどうしても避けたいわけで――


 ……いや、悩んでても仕方ないか。とにかく、すべきことは――


「――ううん、駄目なわけない。大事な親友の恋、全力で協力するよ」

「……っ、ほんと!? ありがと優月!」


 そう答えると、さっと私の手を取り眩いばかりに目を輝かせ謝意を口にする美波。さっきのメンバー発表の時より、いっそう眩い笑顔で。


 ……まあ、こう答えるしかないよね。今ここで断ろうものなら、今後を待つまでもなく今の関係が壊れかねないわけだし……それに、協力したいのはほんとだしね。



 

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