フィーリング的な?
ともあれ、ぼんやりそんな思考を浮かべつつ帰り支度を着々と進める。さて、恐らくはそろそろ――
「――お待たせ〜優月。さあ、今日も気合い入れて帰るよ!」
「……いや、浦崎先輩。帰宅に気合いも何もないでしょう。あと、出来ればもう少し声を落として頂けると」
「あっはは、相変わらずつれないなあ優月は」
そう、快活な笑顔であっけらかんと話す鮮麗な女子生徒。彼女は浦崎真歩――いつも明るい一つ上の先輩で、彼女の属する三年四組のみならず学年全体においても高い人気を誇ると聞いている。まあ、そうだろうね。明るいし、綺麗だし。
「――いやぁ、それにしてもほんと人気だよね」
「……えっ?」
「ほら、芳月先生だよ。まあ、あのルックスの時点で人気が出ないわけないけど、何より優しいしね。ほんと、優月が羨ましいなぁ」
「……ああ、そういうことですか」
帰り道、少し不服そうに口を尖らせそんなことを話す浦崎先輩。まあ、彼女の気持ちは分からなくはない。そういう生徒は非常に多いと聞いているし、実際に別のクラスの子達がそういう話をしているのも耳にしたことがあるし。
まあ、それはともあれ――そもそも、どうして学年の違う……それでいて、一緒に帰る相手など全く事欠かないであろう人気者の彼女が、どうして毎日わたしのもとへやって来るのか――
『……うーん、なんて言うのかな……なんか、フィーリング的な? 初めて優月を見た時、な〜んかビビッときちゃったんだよね!』
以前、理由を尋ねた際、何とも朗らかな笑顔で返ってきた返事がこちらで。うん、私には全く分からない感覚だけど……まあ、彼女がそう言うのなら私に反論などなく。