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朝
鬱気味の夫は、腹痛と共に朝を迎える。
「大丈夫ね? 病院行って、点滴する?」
無言の夫に、娘が聞いた。
「お父さん、お腹いたいの~?」
「ごめんね、みったん。お父さん、お腹が痛いんだ」
黙って、父親を見る娘。
これが、いつもの朝となって、どれくらい経つだろう。
酷いときは、「もう無理」「できない」「何もかも駄目」という台詞がつく。
仕事に関して、私は蚊帳の外だ。
会社人としての夫を知らない。
だから夫に、「しっかりしなさい」「頑張れ」「何とかなる」とか、
気休めや無責任ともとれる言葉は、かけきれない。
私が知っているのは、夫である彼、父親である彼、だ。
これなら、誰よりも一番、私が知っている。
「何もかも」という言葉が出たときは、
夫としての自分、父親としての自分も否定しているようで、怒りが沸く。
叱咤する。
夫として、父親として、駄目かどうか。
判断するのはあなたじゃない。
私と娘だ。
そして私と娘は、あなたに合格点をあげている。