病院受診
ほとんどの方が病院を受診された経験があるのではないかと思います。病院を受診されたきっかけは何だったでしょう。発熱やのどの痛み等、身体のどこかに異常を感じて、その治療のために受診されることが多いと思います。このような場合は、ほとんどのケースで、症状がなくなるまで数回受診するだけですむと思います。このような自覚症状がなくても、健康診断を受けて、診断の結果で何らかの異常が見つかり、病院の受診を勧められてという場合もあるのではないかと思います。
「健康診断」の項で述べたように、検査で異常値がみつかったからといって病気であるとは限りません。「そうなら、健康診断で異常が見つかっても、病院を受診しなくてよいの?」「異常があっても病院を受診しなくてよいなら、健康診断を受ける意味はないのでは?」と思われるかもしれません。異常値が経過をみても大丈夫なものなのか、精査が必要なものなのかを、素人が判断することは難しいと思います。ですから、結論からいうと、健康診断で異常が見つかったら、健康診断の結果報告に受診するように記載されている診療科の信頼できる医師を受診することをお勧めします。ここで重要なのは、「信頼できる」です。でも、普段は病院にかかったこともなく、信頼できるかかりつけの医師がいない人がほとんどだと思います(かかりつけ医が信頼できる保証はありませんが)。どのようにして、医師が信頼できるか否かを判断すればよいかのヒントをお話したいと思います。信頼できる医師をかかりつけ医として、健康診断の結果等を相談できるようにしておくとよいと思います。
健康診断で見つけようとしているのは、虚血性心疾患や脳血管障害の原因となる生活習慣病や悪性新生物です。健康診断で画像検査を行っていて、画像検査の結果から悪性新生物が疑われた場合は、細胞診断や腫瘍マーカーを用いた精査必要です。しかし、画像検査で異常がない場合でも、日本の健康診断では、闇雲に腫瘍マーカーを測定していることも少なくなく、腫瘍マーカーの数値異常から悪性新生物を疑っている場合もあります。画像検査で異常もないのに、腫瘍マーカーを調べることに意味はないので、健康診断では腫瘍マーカーを調べないことをお勧めしますが、健康診断の結果を調べて、腫瘍マーカーの数値異常に基づいて専門診療科受診が進められている場合は、受診した診療科の医師に健康診断の結果から何が考えられるかの説明を求めることをお勧めします。健康診断で画像検査をしているのに、その画像を確認せずに精密検査を行おうとする医師はあまり信頼しない方がよいと思います。
生活習慣病とは、その名前が示すとおり、生活習慣が原因となっていると考えられる疾病です。肺ガンも喫煙という生活習慣が発症のリスク因子なので、肺ガンを含むガンを生活習慣病に含める場合もありますが、一般的には、高血圧症・糖尿病・脂質異常症が健康診断でみつかる代表的な生活習慣病です。これらの疾患には診断と治療のガイドラインがあります。いずれの、ガイドラインでも、投薬治療を開始する前に、生活習慣を改善することが勧められています。生活習慣病では、生活習慣を改善が治療の先決です。健康診断で見つかった段階で、すぐに投薬治療が必要なことはありません。生活習慣の改善に関する指導もなく、投薬を勧める医師もあまり信頼しない方がよいでしょう。初めから投薬治療を勧める医師はあまり信頼しない方がよいでしょう。
初めから投薬を勧める医師はあまり信頼しない方がよいといいましたが、このような医師は稀だと思います(稀であることを望みます)。多くの場合は、投薬を勧める前に、その病院での再検査を勧められると思います。しかし、再検査の必要がない場合もあります。健診の報告書には、数年分の検査結果が表記されていることが多いです。検査結果の推移から、経過観察でよいと判断できることもあります。検査値の推移に基づいて、再検査が必要な理由を述べて、再検査を勧める医師は信頼してよいと思いますが、説明が不充分で、やみくもに再検査を勧める医師もあまり信頼しない方がよいでしょう。あなたが以前に健康診断を受診していて、報告書にその年の結果しか表記されていない場合には、それ以前に受診した健康診断の報告書も持参して受診することをお勧めします。健康診断を受診したことがあるか、その時に異常を指摘されていなかったかを確認する医師も信頼してよいと思います。