第1話 お母さんは都市伝説
「くぉらーー!!朝やぞーー!!」
築32年、田舎の3LDK平屋建ての廊下、朝7時25分きっかりに鳴り響く声はどんな目覚まし時計よりも強烈で世界に一つしかない
地響きと勘違いさせるほどのドスドスとした足音が段々と俺の部屋に近づき勢いよく障子がスライドするとパァン!という音ともに俺は眠い目を少しだけ開けた
そこには誰がどう見てもいつの時代のトレンドなのかわからない真っ黒おばちゃんパーマにどこのブランドか全く検討のつかないクマ柄のパーカーを着て灰色のスウェットを履いた立派なオバチャン……もとい俺のカーチャンが立っていた
「こらタカシ!さっさと起きんかい!また学校遅刻するやろが!!」
「……うぅ、俺低血圧なんだよ…勘弁してくれよォ」
これが優しくて美人で繊細で美しい声のお母さんなら俺はこんな言い訳もせずに毎日朝一番に起きて、おはようと朝の挨拶を交わせる!
だが現実とは非常である
俺のお母さん……いや、カーチャンは布団の中でまだモゾモゾと二度寝の準備をする俺の姿を見ると掛け布団を引っ掴み俺からはぎ取った
「なぁにが低血圧や!そういうのはもっとか弱くて可愛らしいカーチャンを困らせない美少年になってからにしいや!!そうしたらカーチャンも毎日優しーく起こしたるわ!!」
……考えていることはやはり親子のようだ
「……わかったよ」
俺は諦めて眠い体にムチを打ち起き上がる、瞼はまだ完全には上がらない
昨夜遅い時間まで友達としたオンラインゲームが尾を引いているのがはっきりとわかるどんよりとした足取りで廊下へ出る
「ほら!シャキッと起きんかい!どうせまた夜中までファミコンしとったんやろ!」
「ファミコンって…オンラインゲームだってば…頼むからそういうの外では言わないでくれよ…」
「アンタこそ外でまだカーチャンに朝起こして貰ってるなんて言わんといてや」
この母に口で敵おうなんて思うのが間違っている
背中からカーチャンの背筋を伸ばさんかい!と飛ばされるヤジを受けながら俺は飯だけは美味いカーチャンの料理が並ぶ食卓に向かった
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ここまでお読み下さりありがとうございます
あまり文字書きをしない人生を送っていたので至らぬ点があちらこちらに存在します、ご容赦ください
丁寧な言葉を使うのは疲れますね