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宇宙冒険家ノモ  作者: 坂山海
早熟で未熟者
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憧れの人は複製体

 私は、ずっと憧れて()()宇宙冒険家K・ユニ・フレンドを目の前に不思議と緊張もしなかったし、高揚感なども沸いては来なかった。それは目の前の人物は複製されたクローンであると告げられたからなのか、それとも、私自身がもう宇宙冒険家なんてどうでもよくなったのかは分からない。

 それにしても、私はよく連れ去られるな。自分でも嫌になる程誰かに連れ去られている。毎回男に。


(ユニ)「そろそろ着くよ」


 その星は着陸する前から見えるほど見るからに大都市だった。

 5つの星の間に通路が繋げられていて、真空管のようになっている。荷物や人が乗った装置が一瞬でやりとりされているのが見える。(本当なら目に見えない速度でやりとりされている)雲を貫いている高層ビルがほとんどで、一際大きいビルには宇宙船開発会社[SORANI]のイニシャルが刻まれていた。


「ここは?」

(ユニ)「うちの会社さ」

「星全て?」

(ユニ)「そう。この星群地は宇宙業界の最も重要な基盤となる場所だ。星ごとに役割が異なっている」

「へー」

(ユニ)「向こうの星[アルファ]は工場地帯だ。大量生産するためのラインが作られている。高度技術者もその星に住んでいる者がほとんどだ。あっちの星は[ガンマ]。主にこの星群に住む人間に向けた食料を生産、出荷をしているライフラインだ。で、今隣を通り過ぎた星が[発電星]だ。この星群にある全ての建物や工場に必要な電気を生み出している発電専用の星。元々電気を生み出し続けていた星を加工したんだ。」

「あそ」

(ユニ)「で、ここが私の会社の本拠地となる星。[ユニット]だ。仕事のほぼ全てをここで行っている。職員のほとんどはここに泊まって過ごしているが、家を持ちたいものは隣の居住区[ベータ]に住んでいるよ。

「どうでもいい」

(ユニ)「もう少し、興味を持ってくれよ、、、」

「で、私が作業するところはどこなの?」

(ユニ)「[ユニット]の地下だ。そこしか許可が降りなかった」

「銀河警察からの?」

(ユニ)「それもあるが、世間だよ。凶悪な銀河指名手配犯罪者なんてどの居住区の星も入れて欲しくはないだろう」

「まあ。そうだろうね」

(ユニ)「でも私はノモが無罪だって知っている」

「エニアの友達だから?」

(ユニ)「いや、直感だよ。エニアはただ純粋に実験をしたかっただけ。君の罪状なんて興味すら持っていなかったよ」

「そ、」


 私たちは会社の地上1000階に着陸をしてから、エレベーターを10階以上乗り換えて地下45階についた。エレベーターだけで1時間ほど乗っていた。

 ここの職員のみんなは宇宙服を着ていて、どんなに高度のある建物でも気圧の変化で体調を崩したりはしないようになっている。


 職員らは宇宙冒険家や探索家ではないので、ピチッとした宇宙服ではなく、エアーがたくさん入った旧式の宇宙服を見に纏っていた。私はみんながみんな太っているのだと思っていたが、地下に来てからそれらを着ている人を見かけなくなると、みなスタイル抜群だった。

 なぜかツボに入った私は可笑しくてみるたび笑いを堪えていた。



 案内された地下の部屋に入ると中央にライトアップされて展示された私の宇宙船があった。


(ユニ)「これは模型。本物は特定危険物質レベル5に指定されているから持ち出すどころか、見ることも触れることも近づくことすらできないんだ」

「私のなのに?」

(ユニ)「ああ。未知の物質でできているし、君以外の人物が近づくと排除されるんだよ。宇宙船から」

「ペタがまだ少し入ってるんじゃない?」

(ユニ)「多分な」

「機械生命体にも解析できないって言ってたけど、なんで?解析能力は私が実験を受ける前よりかは性能アップしてるでしょ?」

(ユニ)「性能は比較できないほど上がっているよ。もちろん。でも、人間によってセーブされているんだよ」

「なぜ?」

(ユニ)「人間は傲慢なんだ。自分よりも優れたものが嫌いでね。特に機械に対しての思いは強いんだよ。それを知っている機械生命体らは人間に破壊されないように機能をセーブしているんだ」

「意味ないじゃん」

(ユニ)「ああ。だからここではそのセーブを取り払っている」

「法律的にダメなんじゃないの?」

(ユニ)「国からの承諾書はもらったよ。ほら。ちゃんと保存もしている。」

「国は優しいんだね。あんたには」

(ユニ)「まあね。嫌われてはいるけれど。利益を生み出し続けている限り、俺のいうことは大概聞いてくれるよ。」

「結局金かよ」

(ユニ)「君を私の元に置くためにも大金を払ったんだ。銀河警察に」

「保釈金?」

(ユニ)「そう。ざっと5000億くらいかな」

「ふっかけられたね」

(ユニ)「まあ、ポケットマネーで足りたよ」

「はっ!」


 金で私のことを買ったという話を聞きながら、部屋に何があるのかキョロキョロしていた。いろんな道具が揃えられており工具の種類だけ集めた在庫だけでも店が開けそうだ。

 私はなんとなく手に取ってはいじったり、ほたったりしながらユニと雑談をしていた。


(ユニ)「本題に入るが、この物質はなんだ?外壁に使われているこの頑丈かつ紙よりも薄い合金素材は一体どうやって作った。データがないから解析ができないんだ」

「あーそれね。なんだっけな〜」


私は分かりやすくはぐらかした。


(ユニ)「・・・」

(ユニ)「何が欲しいんだ?」

「ドーナツが食べたい」

(ユニ)「・・・」


 ユニは目を点にしながらゆっくりと頷き、承諾してくれた。

 私がもっとえげつい物を要求するとでも思っていたのだろう。私はお前ら経営者と違って物欲が無いんだよ。全く。

 しばらく甘い物を食べてなかったから、唐突に食べたくなっただけ。それに「頭を使う作業には糖分が必要なのだ」ってニーが言っていた。

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