赤い少女の人格たち
今度は誰だろう。
エニアの人格を追うだけでも結構時間が経った気がする。
またもやどこか見知らぬ土地で生まれた赤子のようだ。赤い目をした男の子。
スリーか?
ここは、児童施設か?こいつ孤児だったんだな。
憎たらしい顔をしている。ナニを考えているのか全くわからん。あれ、今回は人格者内に入っているわけでは無いのか。
三人称視点からスリーの子供時代を見守る。
スリーはスクスクと育っていくが、6歳を過ぎたあたりから他の子とは違う身体であることを知っていく。普通の子たちよりも力が圧倒的に強いのだ。6歳なのに、大人の女性を抱えられるほどの力を持っていた。
走るのも、飛ぶのも、組み手も、体を動かすことならスリーの右に出るものはいなかった。
13歳になり、誰かに引き取られていった。その相手はエニアだ。他よりも強靭な肉体を持って生まれた子供に興味を持ったのだろう。強靭な肉体を持つ者は強靭な精神を持っているだろうと考えたのだ。
だが、精神の方は13歳のまま。成長する際に精神も成長すると思っていたが、スリーの場合。肉体に特化し過ぎているせいか、精神は幼稚のままだった。15歳になり、一向に精神の方が成長しないことを見かねたエニアは人格実験の一部へと使ってしまった。
あの少女の身体は元は男の子だったのだ。スリー以外は女の子の人格が入れられたため、体つきも女の子になっていったのだろう。
抵抗するスリーを薬で眠らせて、人格実験の一部とされてしまった。
スリーの成り立ちを見た後、同じく別の夢を見に行かされた。
次はフォーだ。
フォーは元は女騎士だったらしい。養成学校で女騎士として学んでいるところから始まった。正義感が強く、虐められている子を助けてあげている。騎士って、いつの時代なんだこれ。
そんな正義感の強いフォーは斬撃の力が随一だったようだ。模擬戦の表彰式では毎回優勝している姿があった。
そんなフォーは戦争に敗れた大国とともに亡くなってしまう。あれ?ならどうやって人格を取りに来たんだろう。そのままフォーの生い立ちは終わってしまった。
やっぱりこれって私の見てる都合の良い夢なのか?設定がバラバラだし、、、
まあ、いいや。
最後はファイかな?
そう思っていたら、突如光に覆われていった。
(エニア)「目が覚めたか」
「あれ、、、」
(エニア)「どうじゃったか?人格者の旅は」
「やっぱりあんたが見せてたのか」
(エニア)「そう。データを取り出して、脳に接続しておった。大事な手順の一つじゃ」
「てか、あんた老けすぎじゃない?」
(エニア)「そりゃあんたが寝てから70年経ったからね」
「そんなに!?寝てたのか?」
(エニア)「人格者の旅はその人の人生全てを遡る。時間がたくさん必要なんだ」
「ファイの人格だけ見れてないんだけど」
(エニア)「まだ生まれておらん子の人格は見れん」
「生まれてない?」
(エニア)「ああ。まだファイは生まれておらん」
「ならどうやって、ファイを少女の人格に入れたんだよ」
(エニア)「わからん。勝手に入っていた」
「は?」
(エニア)「私は自分を含めて四人までしか入れておらん。でも完成した少女には5番目の人格。ファイが入っておった。しかも主人格として」
「どういうこと」
(エニア)「それはお前が確かめろ、、、」
エニアは老衰して死んだ。私が目を覚ますまで、いや。自分の実験が成功したか見届けるという一心で生きていたんだろう。
私は研究施設を出ると、迎えが来ていた。
(???)「やあ。ノモ。君を受け取りに来た」
「あんたは、、!」
迎えに来ていたのは私が宇宙冒険家を目指すきっかけとなった人物。宇宙冒険家のK・ユニ・フレンドだった。
「あ、、れ、エニアが70年間私は眠ってたって言ってたけど、あなたは私が知っている頃と全く変わってない、、ね」
(ユニ)「私は、クローンだよ」
「え?」
(ユニ)「クローンをたくさん作り、それに意識を乗り変えて生きている」
「それって犯罪ですよね」
(ユニ)「結託すればバレないんですよそんなこと」
「あなたも国と繋がっているんですね」
(ユニ)「ああ。エニアとも仲良くしていた。私の意識を乗り換える実験に賛同して手伝ってくれた第一人者だからね」
「そうですか」
(ユニ)「行きましょう。ノモ」
「どこに?」
(ユニ)「私の会社です」
K・ユニ・フレンドは宇宙船開発会社[SORANI]の社長である。その会社で私が何をする必要があるのか、、、?
(ユニ)「あなたには話したほうが良さそうなので、話しておきますよ」
「何を?」
(ユニ)「この業界の仕組みを」
宇宙産業が生まれて300年。この歴史を第一線で活躍し続けている会社の社長から直々にこの業界について教えてもらう。。。




