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宇宙冒険家ノモ  作者: 坂山海
早熟で未熟者
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第三章 第二部 誰もいない会場

トーナメント会場に行くには二つの門を潜らなければならない。

一つ目はさっき通ってきた門。二つ目は壁の中央をくり抜いたような設計をしている門だ。

その奥へ進んでいくと八角形に切り取られたトーナメント会場が見えてくる。


観客席は60万人くらい入れるそうだ。(この星にいる囚人は看守を含めて2万5000人)

こんな馬鹿でかいトーナメント会場を作って意味があるのだろうか?

三人は無人のトーナメント会場前に着き、その大きさに圧倒されていた。



中へ入ると中央のステージ上に誰か立っている。


「お〜い。そこで何してんだ〜」

(???)「・・・」

「無視かよ」

[誰に声をかけてるんです?]

「え?ステージの中央にいるあいつだよ」

[そんな人見えませんが、、、]

「は?そこだよ!ほら。見えるでしょ?」

[いえ、]


ファニーにも聞いてみるが、見えないらしく首を横に振っている。私だけにしか見えてないのか?


「おーい!こっちを向いてくれ〜!お〜い!!」

[ちょ、、と看守が不思議そうに見てますから、やめてください・・・]

「なんで見えねーんだよ」

「おーい、、ってあれ?いなくなった」



すると、辺りが急に真っ暗になる。

「あれ。オリゴ?ファニー?みんないる?」


シーン・・・



あれ、あれ、、?何がどうなってんだ?みんないなくなっちゃったのか?



バッ!!



ライトがつくと真っ白な天井に囲まれた場所になっていた。


「ここは・・・」


この部屋はよく覚えている。私を拷問していた部屋だ。真っ白な部屋に私の血が飛び散ってどんどん汚くなっていった部屋だ。



バッ!!



また部屋が暗転した。




バッ!!



次はチーム『ハインライン』の宇宙船内にある私の部屋だ。狭くて心地悪かったが、だんだん慣れてきた頃に事故ったんだっけ?



バッ!!



次は青い星で過ごした風景だ。

なぜか少女の姿が出てこないが、探索した時の景色がどんどん入れ替わっていく。



バッ!!




次は無かった。

暗転したまま一筋のスポットライトが先ほど中央に立っていた人物に向けられている。


「何?」


(ニー?)「おめでとうなのだ。ここまでこられた人物は君が初めてなのだ」

「・・・・・・・・」

「あんた誰?」

(ニー?)「ニア・ユニ・エニア。()()()がニーと呼んでいた人格主さ」

「なるほど。わかった」

(エニア)「何が?」

「この星は収容所や刑務所じゃないってことが」

(エニア)「ごめいとーなのだー」

「ニーって意外と若かったのね。あそこで50年もいるって言ってたからもっとジジイかと思ってた」

(エニア)「そう?私はまだまだ若いと思うけど?」

()()はでしょ?」

(エニア)「お!鋭いね〜」

「ここは人体実験施設か何か?」

(エニア)「そうなのだ!ここは人工多重人格者を作り出すための施設なのだ〜!」

「また、気色悪い研究施設だな」

(エニア)「気色悪くなんかないのだ。人類が宇宙の最果てまで到達するために必要な大事な施設なのだ!」

「へー」

(エニア)「って、関心うっす〜」

「まあ、なんとなくそういう施設がありそうだなって思ってたんだよね。アンタらと出会った時から」

(エニア)「・・・」

(エニア)「へぇ〜」

「で、私に何か用があるんでしょ?あんなに私の頭の中を見せてたって事は」

(エニア)「・・・。まあね」


エニアは不敵な笑みを浮かべながら私の方へ一瞬で近づいてきた。

(エニア)「君は()だ。」

「は」

(エニア)「君はここ1年間で壮絶な経験を幾つも経験してきた。この星へ来る時だって、この場所へ辿り着くまでだってそうだったろう?」

「まあね」

(エニア)「君のような短時間でこれほどのストレスに耐えうる()は現れたことがないんだ」

「語尾。忘れてるよ」

(エニア)「黙ってきけ」


エニアは私の目にニードル武器をギリギリまで突きつけてくる。こいつもロロネー見たくアタオカなのか?


(エニア)「多重人格者の実験は完成しているんだ。君がすでに関わっているあの赤髪の少女」

「ふーん」

(エニア)「本当に興味なさそうだな・・・。まあいい。私がしゃべりたいだけだから」

(エニア)「どれだけの人体実験を繰り返しても成功しなかった。人格を増やした分だけ成功率が下がり、難しくなる」

「ふわぁぁぁぁ」

(エニア)「そして!ついに!成功したのが赤髪の少女なのだ!」

「うん」

(エニア)「だが、彼女の体は人格が安定している時期とそうでない時期で崩壊の速度が異なってしまう」

(エニア)「つまり、屈強な精神力を持つ者と多重人格者を合わせることで初めて安定するのだよ」

「それで、私が適任だと」

(エニア)「そう!そうそうそうそうそう!!!!!わかってるじゃぁ〜ないか〜!!!!」

「どうやって?」

(エニア)「それは、脳移植だ」

「できんの?」

(エニア)「舐めるなよ。私の技術力は国からのお墨付きだぞ!!」

「なるほど。国が関与しているのか」

(エニア)「はっ!!!しまった!!言ってしまった!!!!」

「はいはい。本当はいいふらしたかった癖に」

(エニア)「バレてたか」



私はエニアとエニアの助手達に連れていかれ、手術室へと運ばれていった。

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