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宇宙冒険家ノモ  作者: 坂山海
早熟で未熟者
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トーナメント無いじゃん!?

朝起きると、恐竜たちはいなくなっていた。


何頭かは、わたしたちの跡をつけて来ているようだが、襲ってはこない。

自分たち以外の生物を見たことがないのだろうか?こちらに興味津々だったので、近づいてみた。ファニーが真剣服を引っ張って止めようとしていたが、そのままズルズルと私に引っ張られていった。


近くに来ると改めてデカさを感じる。全長は15~20mくらいだろうか?

後ろでブルブルと震えているファニーを宥めようと振り返ると、顔をぐいっとこちらに寄せて巨大なベロで舐められた。


不意打ちで舐められたので、バランスを崩した私はファニーの上に覆い被さるように倒れ込んだ。ドロドロの唾液まみれの私が倒れてくる一部始終を見ていたファニーは覆い被さるまでの数コンマで表情がみるみる変わっていく。


怯えていた表情から驚いた表情に。そこからネバネバでドロドロになった私を見て気持ち悪がって、目を見開いている。ソレが自分の方へ倒れ込んできた瞬間、絵にもいわぬような表情になっている。口をへの字に伸ばし、目は驚いたまま。両手で防御しようとしたが、間に合わず両手が私とファニーの胸の間で固定された。


身動きが取れない状態で、ドロドロネバネバの液体が私から少女へと垂れていく。

必死に手足をバタバタして逃れようとしているが、抵抗虚しくドロドロビシャビシャになっていった。



私が慌てて起き上がると、粘液まみれのファニーがそこにいた。

遅れてきたオリゴが遠くで頭を抱えていた。



恐竜は私たちを不思議そうに眺めており、襲おうとしているというよりかは、心配しているように見えた。


「だ、大丈夫?ファニー」


ファニーは粘液まみれになった自分を一通り見てから半泣きになり、オリゴの方へ走っていった。


[ちょ、、ちょっと!!こっちこないでください!!]


オリゴとファニーが左右へ行ったり来たりしているのを私と私の背後にいる恐竜は目で追いかけていた。ヌメヌメになった私が後ろを振り返ると、恐竜たちはファニーたちから私へと視線を落とす。どうやら悪気はないようだが、、、



「何すんだこら〜!!!」


っと追いかけ回すと一目散に散って逃げていった。


「ふっ。バカな奴らめ」



なんてかっこつけて言っているが、全身ヌメヌメだった私はだんだん乾いてきた。ペトペトしだしたので、オリゴに水場を教えてもらおうと私も二人の追いかけっこに混ざった。


「オリゴー。水場とか無いの〜。ペタペタするから洗いたいんだけど〜」

[知りませんよ。私は。ていうかついてこないでください]


私は少し本気で走ってオリゴに並んだ。

[うお]

「お前も道連れにしてやろうか〜」

[や、やめてください。駆動部分が固まってしまいます」

「とりゃ〜!!」



私がオリゴの横っ腹に飛びつくと上からファニーも押さえつけにきた。

こうして三人まとめてテラテラのペタペタになった。


[水場なんて知りません]

「ならペタペタになるしかないね」



オリゴはため息のような機械音を出していた。



バイクに乗っていたらペタペタからカピカピにはなったが、肌がピリつくので早く洗い流したい。



(北西の門200m手前の岩山)

出発から約1ヶ月。バイクのおかげで当初の予定よりだいぶ早くついた。ここから様子見をしているが、今までの門より看守の数が多い。バイクはここに置いていった方が良いだろう。手ぶらで行くのも怪しまれそうだからバックパックだけは持っていくか。


バイクを隠して、バックを持ち門に近づいていった。


「止まれ!」


看守の一人が声を上げると、他も気づき始め私たちを取り囲んだ。


看守というより、ごろつきという方が正しい。やたらに鍛えられた無意味な巨体は彼らの無尽蔵に溢れ出てくる自信を体現しているようだ。


「何?」

(看守)「手荷物検査だ。止まってもらおう」

「はいはい」

ドサッと荷物を下ろして、その場を少し離れる。看守たちが荷物に近寄っていく。その様子はまるで餌に群がるゴリラだ。


飲み水とレーションを少し入れたバックパックの中身は全て奪われていた。

(看守)「よし。次は持ち物検査だ」


看守たちは一人三人ずつついて、体をベタベタ触ってきた。

所々、まだ乾いておらずベタベタしている。


(看守)「うわっ。なんでこんなベタベタしてんだよ。気持ちわりぃ」

「恐竜に舐められたんだよ」

(看守)「くだらん嘘をつくな」

「・・・」


人の話を信じない奴らだ。頭の中まで筋肉なのだろうか。


(看守)「よし。通っていいぞ」

「質問してもいい?」

(看守)「・・・」

(看守)「なんだ」

「トーナメントって今やってる?」

(看守)「トーナメントはもう終わった。来年来るんだな」

「え?」


私はパッとオリゴの方を見た。オリゴは知らないと主張するように手を顔の前でブンブン振っている。ファニーの方を見ると、舌を出してテヘペロとしていた。


ま、ま、、あとりあえず、行ってみるか。何もやってないトーナメント会場に。




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