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宇宙冒険家ノモ  作者: 坂山海
早熟で未熟者
83/101

オリゴ

その晩。


オリゴとファニーと私でキャンプをした。

夜になると気温はマイナスになるこの星では、焚き火をしなければ凍えてしまう。


しかし、近くに薪に使えそうなものは落ちていない。

どうしようか悩んでいると、オリゴが何か持ってきた。骨を持ってきてこれを燃やそうというのだ。


「燃えないでしょ」

[燃えますよ。乾燥しているので]

「え〜。なら、やってみてよ」

[楽勝です]


結局燃えず、みんなで身体を寄せ合いながら、寝た。穴を掘って私たちが下に寝れば、ファニーが凍えることはないだろう。



翌日。

ファニーはまた私の指を吸っていた。そういう癖がまだ直っていないのだろうか?

よだれが頬を伝って私のお腹に垂れる。冷えたよだれがお腹を伝っていくのがこそばゆい。何度か起こしたが、全然起きなかったのでバイクに乗せてそのまま出発した。


オリゴが背後をしっかりと支えているので、落ちることは無いだろう。とりあえず南の門へ向かって突き進んでいく。



ひたすらに東方向へ進む。休んでキャンプして。進む。またキャンプして休む。1週間ほど進み続け、ようやく南の門が見えてきた。バイクはバレると面倒なので、[反射]を使って隠して通る。


検問所では少し列ができていたが、持ち物検査という名の略奪だ。何も持っていなければ、通行料を払えず通れないし、持っていても奪われる。


どのみち、向こうへ行くには手ぶらで行かなければならないようだ。


私たちはたらふくの食料と水を持っている。とりあえず、バイクと一緒に4分の1を残してあとは隠した。看守たちは喜びながら私たちの荷物や食料を奪い、手ぶらで通された。

早速、看守たちは私たちの持ち物で争い合っている。惨めな奴らだぜ。


目に見える分しか信じないから宝を逃すのさ。


私たちは手作りバイクと食料と水の4分の3を持って南側へ渡った。

壁は厚さがおよそ3kmあり、高さは100m以上あるところもあるらしい。乗り越えても看守がいるため、壁の上を通過するには本当に飛ぶことができる奴らだけだろう。


どこか遠くで鳥が鳴いている。死んだ人間を貪り食うために、死にそうな人間の近くを飛び回っているのだろう。骸骨が多いのはそういうことだ。



南側を今度はひたすら進む。壁を抜けて、見えなくなるまで歩いたら隠していたバイクに乗り、走り出した。南側は東側と違って、小石やサボテンのような植物が生えている。礫砂漠だ。西洋映画で出てくるような景色が永遠と続く。気候はこちらの方が少しだが過ごしやすい。街のようなも点在し、少しだが栄えているようだ。


少し興味本位で寄ってみることにした。


酒場のような場所へ入ると、すでに出来上がったぽっこりお腹のおっさん道中が大声で話している。殴り合っている席もあり、大分物騒だ。


この酒場では新入りは少し値が張るらしい。私が作り出したナイフを三本渡した。(1時間後くらいには砂のように消えて無くなるもの)


すると店主は喜んで好きなものを注文するように言った。

何も知らない店主は私が物持ちだと思って丁重に扱う。馬鹿みたいに。


お酒は飲めないので、代わりにお店に置いてあるものを一つ譲って欲しいと願った。

店主は少し嫌な顔をしたが、一度店主に見せにきて店主が了承したものだけ渡すという条件で受けてくれた。



私たちはバラバラに分かれ、二階建ての酒場を散策しに行った。

30分後に持ってきたものの中で一番使えそうなものを持っていくと決めた。



(30分後)


私たちは再びカウンターに集まり、持ってきた物を見せ合った。

(私/オリゴ)「せーの!」


カウンターの机の上に置かれたのは以下の三つ

・おはじきと大きなビー玉

・古いリボルバー式の拳銃

・濾過装置



「この拳銃って、、、」

[あそこに座っていた人にもらいました。もう使わないからと]

「どれ、、?どの人?」

[ほら。あそこ。角の席に座っているセピア色の服を着た男性です]



私は早歩きでオリゴが言った人の方へ向かった。顎をぐっと持ち上げ、顔をまじまじと見てみる。


(男性)「嬢ちゃん。何すんだ」

「ごめん。人違い。リボルバーの拳銃はどこで手に入れたの?」

(男性)「拾ったんだ。砂漠の真ん中で」

「真ん中?」

(男性)「ああ。なーんにもないど真ん中で拾ったんだー」

「弾は入ってるの?」

(男性)「いやぁ。抜いてる。あぶねぇからな」

「今持ってる?」

(男性)「あるぜ。でも。嬢ちゃん。どうする気だ?それ」

「身の危険を守るためだよ」

(男性)「身の危険なんてものここには、ありふれてるだろ。今更守ったって仕方ない。そもそも俺たちゃお国さんが罪人と決めた野郎共しかいねぇんだ」

「知ってる」

(男性)「なら殺される心配なんてのはねぇよ。みんな冤罪だからな。」

「一応だよ」

「トーナメントに出るからね」

(男性)「は?ブハハハハ!!!!!!!お前がか?」

(男性)「やめとけ。やめとけ。お前みたいな嬢ちゃんがやるようなもんじゃねぇーよあれゃーな」

「どういうこと」

(男性)「何も知らねぇんだな」

「最近来たからね」

(男性)「最近キタァ・・・?お前。あれか。ノモだろ!?ああ。絶対そうだ。故意的にパラシュートを破壊されたのに、何故か生きてたノモだ。不死身のノモ!」


男の声が大きくなるにつれて、店内は静かになっていく。"不死身のノモ"という言葉が出るたびに聞き耳を立て始めた。


おおかた、我先に仲間にしてからトーナメントに出てもらうのが目的だろう。まあ、誰の仲間にもならないけど。裏切られたくないし。



私はリボルバー拳銃と弾を持って走って逃げた。

後に続いてオリゴとファニーが走って逃げる。入り口に停めていたバイクに乗り込み、颯爽と去った。バイクは[発光]でかくしておいたので、取られてなかった。



[なぜ拳銃なんかを?危ないですよ]

「護身用だよ。あるとないとじゃ、全然違うからね」

[そうですか。でもファニーが大きなビー玉を一つ持ってきてしまいましたが]

「いいじゃん。装飾用のビー玉でしょ?それ。一つや二つなんちゃないでしょ」

[そうでしょうか?]



私たちは遠く離れて、人気のない建物に入った。


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