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宇宙冒険家ノモ  作者: 坂山海
早熟で未熟者
79/101

看守に辟易

この星に来て3ヶ月目。

ようやく中央の壁が見えてきた。高さは100mくらい。


壁というより、監視施設のような作りだ。この星を四分割にしているクソデカの壁。どうやって作られたのかは明かされていない。


壁に近づくにつれて看守の数が増えてきた。いちいち何をしにきたのか聞かれるので、うざい。無言で通り過ぎると電気銃で背中を撃たれる。私にとっては電動マッサージのような感じだが、ファニーにとっては激痛だった。悶え苦しむ様をみて、アリアのことを思い出してしまう。


私は面倒だが、彼女のためにいちいち手荷物検査と持ち物検査をされ、変態親父にベタベタ触られるのを我慢した。看守は何故か男性が多く、女性はまだ一度も見ていない。

食料をもらいに来たのに、手荷物検査をされた後必ず何かをせびられる。


何も持っていない私たちは何度も舌打ちをつかれた。


ようやく中央の施設に入れた私たちは厳重に荷物検査をされる。何もねぇっつーの。

補給物資を受け取れる場所へ案内された。壁や天井にはヒビが入っており、今にも崩れそうな箇所が結構ある。前と後ろに看守が一人ずつ付いてきていて、銃を突きつけている。


少しキョロキョロするだけでも「勝手な行動をするな」と怒鳴り散らかされる。

突き当たりの廊下は床が崩落しており、黄色いテープと三角コーンで封鎖されていた。

外見は綺麗だが、内装はあちこちの床や壁が崩落していて風化し切っている。



資材庫につき、中から三つだけ持って行けと言われた。


私はそこからレーションがたくさん入っている段ボール箱二つと(500ml)飲み水が入った段ボール一箱を選び持ち出した。水の入った段ボールとレーション一箱をもち、ファニーには軽い方のダンボールを持たせて施設を出た。


こんなにたくさん持っていくやつはいないとぐちぐち言われたが、別に止められたり、撃たれたりはされなかった。


施設を出ると看守が取り囲んでおり、通りたかったらその物資を少しだけ分けろと言ってきた。どうやら看守にも外の奴と中の奴では待遇が違うのだろう。中の奴は少しガタイが良かったが、外の奴らは痩せている。常に飢えを抱えているようだ。


これは私の憶測だが、おそらく外の奴らに力をつけさせないようにするため、あえて少ない食料しか与えていないのだろう。それに監視の仕事は二交代制で一日12時間外で見張りをしなければならない。寝不足の状態も反乱を起こさせないようにするための手段なのだろう。私でもそうする。


ファニーが持っていた段ボールにはおよそ3ヶ月分の食料が入っていた。(ファニーの場合)そのレーションを力一杯遠くへ投げ飛ばし、道を開けた。数名はこちらに残ったままだったが、そのまま特攻した。両手にはダンボールを抱え、ファニーは肩車した状態でしっかりと掴まらせて、ダッシュで駆け抜ける。


ペタの機械細胞が入った私の体は常人の10万倍以上の力を出せる。中央の壁が一瞬で胡麻粒のように小さくなり、見えなくなっていった。追手が来なくなったので、近くにあった巨大な肋骨の中で戦利品を確認していた。


・レーション(チョコ味)(いちご味)(チーズ味)(プレーン)(ざらめ)

各10個ずつ


・飲み水(500ml)

20本



私は食べなくていいから、全部ファニーの分だ。(100ヶ月分程度)


通り過ぎざまに掻っ攫ってきたバックパックにできるだけ入れ込む。半分ずつ入らなかったので、ファニーが持っていたバックに無理やり詰め込んだ。それでも余ったので、近くの骸骨がきている服を加工して風呂敷にし、余っている分を入れた。


ようやく準備ができたので、とりあえず四分割されている土地を回ってみようかな。(それ以外することがない)


「ファニー。そろそろいくよ〜」


バックパックを背負いながら声をかけるが返事がない。後ろを振り返ると横になり眠っていた。


「起きるまで待つか、、、」


ファニーを見ていると私も久しぶりに眠気に襲われ隣で眠った。



私は気づくと、夢の中でペタと会話をしていた。

『久しぶり。ノモ』

「あれ、話し方変わった?」

『あなたの人格を少し取り込んだからかも』

「そー」

『ごめんなさい』

「どうして謝るの」

『あなたは()()()、死にたかったのでしょう?』

「・・・」

『私は主人を救うという命令が組み込まれていたの。ロロネーがあなたを殺そうとしているのを見て、反射で体が動いた』

「もう、人間みたいね」

『あなたの一部になったから、半分人間のようなものよ』

「確かに」

「あんたが私の意思を尊重するか組み込まれた命令かの二択で悩めるようになったのは、海賊団に捕まる前。私がどうでも良くなった時でしょ?長時間思考していたあの時。」

『・・・』

「私があんたをユニークにしてしまったのよ」

『・・・』

「ま、これからは、そこから私たちを援助してよね」

『承知』

「今のままでいいよ」

『・・・分かった』



目が覚めると私は泣いていた。夢の中の会話はぼんやりとしか思い出せず、何故泣いているのか不思議だった。。。


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