再会①
宇宙探索家チーム『ドイル』と『ドスト』は協力してノモを捜索することにした。チーム内で対立していた『ドスト』はノモと接触してから判断する。という方向へ落ち着いた。
『ハインライン』が解体されたのはメンバーが不仲になったわけではない。メンバーそれぞれがすでに脱退していたからだ。全員が全員。みなあの事故に巻き込まれたと思い、新しいチームへ加入するため脱退したのだ。
なので、今回元チームメンバーだったダニエルとリナはあの事故以来、初めて顔を合わせた。お互いにすでに亡くなっていると思っていたため、感極まっていた。
ダニエルが抱きしめようとしたが、リナは華麗に回避し、事情を聞き始めた。
(リナ)「あんた。なんで連絡の一つもしなかったの?」
(ダニエル)「お前だって、連絡しろよ」
(リナ)「私は、、、みんな事故で、、、、」
(ダニエル)「俺もだ、、、悪い」
(リナ)「いや、、、こっちも、、、悪かった」
(ダニエル)「俺は、たまたま居住区まで吹っ飛ばされたんだ。ペタが入った宇宙制服でなんとか助かった」
(リナ)「私も同じ感じ。旧居住区の星に落ちて、食べ物と飲み物はあったから救助要請して、なんとかその間乗り切った」
(ダニエル)「そうか、、大変だったな」
(リナ)「ペタがいなかったらもっと大変だった」
(ダニエル)「だな。ペタ様様だったよ」
お互い、あえてノモについてはなかなか触れなかった。逮捕派のダニエルと擁護派のリナはなんとなく分かっていたのだ。
お互いどちら側なのか。10年も同じ宇宙船内にいたら嫌でも分かるのだろう。。
先に口を開いたのはリナの方からだった。
(リナ)「ノモ。大丈夫だと思う?」
(ダニエル)「大丈夫だろ。俺のことを張り飛ばそうとするような奴だ。絶対大丈夫だ」
ダニエルは自分にそう言い聞かせているように見える。手足はブルブルと震えており、会った時から今にでも単独で捜索しにいきそうな雰囲気だった。
(リナ)「あんなこと。してないわよね」
(ダニエル)「少なくとも。俺らを殺して逃げたってのは嘘だな。俺らは生きてる」
(リナ)「ええ」
(ダニエル)「俺は、誰かがノモを嵌めているようにしか思えん」
(リナ)「え、、、?」
(リナ)「誰かって、誰よ」
(ダニエル)「分からん」
(リナ)「はぁ?」
(ダニエル)「でも、なんとなくだ。なんとなくそんな気がするんだ。船乗りの感ってやつかもな」
(リナ)「それ、、、リーダーがよく言ってたセリフでしょ?あんたが言うとマヌケに聞こえる」
(ダニエル)「んだと!?」
私はダニエルのいつもの反応をようやく見て、可笑しくなり笑いを堪えられなかった。クスクスと笑う私を見ながら、照れくさそうに頭をぼりぼり掻くダニエル。ようやくチームに戻って来れたって気がした。
一方ノモは・・・
「昨日見たのよ。宇宙海賊団が私を狙ってるって。だからそいつらがおってきてたら倒すだけよ、ペタ?」
「警察だって、元々の悪人なんだから罪にしないわよ」
『殺人は罪になります。どんな人でも』
「だったら、何?私はその宇宙海賊団に捕まって素直に交渉するための材料になれってこと???」
「それだけは嫌!」
『そんなこと。言ってません』
「だったら、宇宙海賊団が追ってきた時だけでも反撃しようよ!あいつら武器めっちゃ使ってきてたし」
『・・・』
ペタは今までにないくらい熱量を消費していた。機械生命体は命令通りに動くのが半分。自分で考え学習する機能が半分ずつ組み込まれている。この技術革新によって、命令通りに動くだけの"道具"だった存在から、人権が獲得できるようになるまでになった大きな要素の一つなのである。
だが、今はその技術力によって、ペタは悩まされていた。
主人であるノモを守るための行動に対する自身への疑念と倫理的観点から見る客観的視点。命令か判断か。
主人はすでに限界を超えている。冷静な判断ができるような思慮はとうにできなくなっている。だが、確かに。宇宙海賊団は武力行使をしてきていた。脅しではなく、実際に狙って、攻撃を仕掛けてきている。
相手がどれほどの威力の武器を持っているのか。脅威になり得るのか、計算することと、急かされる現状に熱量を使い込んでいた。
『少し、お待ちください。検討します』
「少し!少しね!わかった」
このやりとりがきっかけにペタも危険度5の危険兵器として認定されることとなるのはまだ後である。




