クリスタルマインド討伐④
投げつけられてダイヤモンドのような破片を宇宙制服内のペタが[楯鱗]で守ってくれた。が、[楯鱗]を貫通して飛んでくる。ペタが何重にも[楯鱗]を張り巡らし、壁に流すように傾斜をつけていなしていく。
壁にめり込む破片が銃弾のような音を響かせ、火花を散らしていた。
「く、くそ、、、」
『伏せてください!』
ペタが音量を上げて宇宙制服のお腹側を重くした。私は強制的に伏せる形になり、顔を強打する。鼻血がたらりと垂れていた。すると伏せたすぐ上を分離していたペタが放ったプラズマキャノンが通り過ぎていった。かなり奥まで進んで行ったそれは通路の遠くの方でぶつかった音がした。
青頭の鳩尾を捉え、出力を上げていくと同時にみるみる穴が大きく開いていく。
鳩尾から直径30cmほどの穴を開けた。上半身と下半身がほとんどちぎれそうになっている。
(スリー)「やったか??」
(ファイ)「確認している場合じゃない!逃げるぞ!」
「う、ううぅうぅ」
(ワン)「腕拾ったからすぐに治せるよ!!」
「あ、、ありが、、と、」
三人は私のいる通路に合流し、私を抱えて走ってくれていた。ペタが[両翼]を使い、低空飛行してくれた。私の腕を飛びながらワンが治してくれている。スリーが身体の制御をし、ワンが能力を使っているようだ。腕は綺麗に切り飛ばされていたので、すぐにくっついた。ぐちゃぐちゃだったら治癒が困難だったろう。
煉瓦作りの通路をひたすらに戻っていく。アイツは追いかけてくる気配はない。
やったのか?と思ったが、そうではなかったようだ。すぐに幻覚を使ってきて、通路がぐにゃぐにゃになっていく。まっすぐ走れなくなったスリーが壁にズルズルとぶつかりながら走っていた。私は直ったばかりの腕でスリーを抱え、ペタに[両翼]の操縦を任せる。
しかし、ペタを乗っ取りにきた青頭はペタの機能を次々に解除していく。一番最初に[会話]の機能を乗っ取られ、青頭の声に変わった。
(青)『逃すわけなかろう。ここは俺の砦。地下の構造を変えるなんて簡単だ』
「うるさい!ただの幻覚でしょ??通路は一本しかない!」
(青)『そうか。そうか。そう思っていればいい。どんどん迷宮へ迷い込むのも面白い。』
「ペタ!早くコイツの音声切って!!」
『プラズマキャノンを使ってジェットを使用します。気をつけてください。』
(スリー/私)「は?」
ギューィーーーーーーーーーン
掃除機のような音が聞こえたと思ったら、マッハを超えて飛び出した。スリーの口がアヴァヴァヴァヴァなっている。生身でマッハを耐えている。
私は宇宙制服のフードをかぶっていたので、頭頂部から空気抵抗がうまく抑えられていた。分離したペタが後ろでガシャっという音を立てて置いていってしまった。こちらに残っているのは30%になってしまった。なんとか逃げ切り、入ってきた白い扉が見えてくる。入り口に立っていた白頭二人が扉を閉じていた。
ギィィィ
という音を立てながら閉じて行く扉が見える。ペタがさらに出力を上げていく。扉の隙間が30cmくらいしかなかったが、私たちの身体を垂直にし、腹を壁側にむけてその隙間を通っていった。鼻がスレスレだった。
逃げられたが、ペタの10%を置いてきてしまった。
ペタの回復度を上げるために行ったが、結果はマイナス10%。特攻作戦は失敗に終わってしまった。
山岳地帯から飛び出し、そのまま青の樹海へ飛んでいく。徐々に出力を落としていき、[両翼]のみしていき、ゆったりと滑空し出した。
「・・・」
『大丈夫ですか?』
(スリー)「俺ぁへいき。」
「私も。腕はもう元通りだから」
そのまま青の樹海へ着陸する。二人とも棒立ちだった。恐怖から解放された。動悸が落ち着くまでその場にペタンと膝から座り込んでいた。
気づくと辺りは暗くなっていた。リフレクトクローの群れがこちらをじっと見ている。襲ってくる気配はない。だがグルグルと辺りを練り歩いている。
ペタが火をつけ、椅子になりそうな丸太を拾ってくれていた。ついでに周りのリフレクトクローを追い払ってきてくれた。
「どう、しよう、、」
(スリー)「・・・」
(ファイ)「何か、作戦を考えないとな、、」
(ニー)「傲慢が招いた結果なのだ」
「そうね。ニーの言うとおり。もっときちんと戦略を練っていけば、、」
(ニー)「いや、練るような情報源も無かったのだ。仕方ないのだ」
「うん、、」
『ペタのことについては心配不要です。また、クリスタルマインドの居場所は追跡していますので、ご安心を。』
(スリー)「サンキュ」
『いえ。』
辺りは真っ暗になり、焚き火に入れている薪がパチパチと音を立てている。私はボーッと焚き火を眺めていた。スリーはホイホイと薪を無意識に入れている。どんどん火が強くなるので、ペタが薪を入れるなと注意していた。
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