設計図と回復度アップ
あれから少女は自室に籠ったままだ。
ご飯を作って何度か呼んでみたが、降りてこない。お腹空いたから先に食べ始めようかな。
私はせっかく作った料理が冷めないうちに先に食べ始めた。適当に切って炒めて作った野菜炒めを頬張りながら、ペタに帰還用の宇宙船を設計してもらった。
とにかく、この星から自分の住んでいた星までどのくらいの距離なのか、帰るのにどれ程かかるのか。全くの未知数だ。
それに、ペタの回復度がギリギリなのも怖い。帰還中にまたトラブルや事故が起きて、すぐに止まってしまうような回復度ではやはり落ち着いて操縦を任せることはできないだろう。
あと少しはここで過ごして、回復度を45%くらいまでにするのと、帰還用の宇宙船を完成させるのを同時並行してやっていかないと、、、
やっぱり、まだ助けがないときついな。。。
食べ終わったらもう一回部屋まで声かけに行ってみるか。私はペタの作った設計図を見ながら、どれくらいで完成しそうか計算してもらった。
『ノモ様がお一人で製作するとなりますと、ペタがいくら手伝うとはいえ、数十年はかかるかと。宇宙船開発のエンジニアではないノモ様だと厳しいと思います。あくまで予想になりますが。』
「だよね〜。私もこんなの作れる気しない。自分で作った宇宙船で宇宙に行くって無謀だもん」
『ですが、ニー様やファイ様たちに手伝ってもらえればより早く完成する可能性はあります。』
「うーん、、、」
「どうしちゃったんだろう。みんな。」
『・・・』
食器を片付けて、おぼんに少女の分のご飯を乗せて二階へ上がった。設計図とご飯を渡しに行く。
「ね〜。ご飯作ったからここ置いとくよ〜。あと帰還するための宇宙船の設計図をペタに書いてもらったんだけど、見てもらえる〜?」
すると扉の下から紙が出てきた。紙には「下から設計図入れて」と書いてある。なんでそこまでして顔を見せてくれないんだろう、、、?
私は紙に書いてある指示通りに扉の下のほんのちょっとした隙間からコピーした設計図を数枚入れた。ご飯冷めないうちに食べてねと言い残して下へ降りて行こうとしたら、すぐに設計図と別の紙が扉の下から返された。
取りに行くと、設計図にはいろいろな添削がされていた。追加の新しい紙には修正済みの設計図を清書してくれていた。多分ニーがやってくれたのだろう。私は扉の前で
「ありがとう」と呟き、階段を降りた。
寝室に入り、ベッドの上で添削してくれた設計図と新しく書いてくれた設計図を見比べつつペタに見せた。
『さすがニー様ですね。線の描写が綺麗で、字も見やすいです。ペタには理解できない部品もあるようですが、この設計図をもとに制作に取り掛かっていきましょう。』
「そうだね。わからないところはまたニーに聞いてみよう」
『早速制作に取り掛かりましょう』
「いや、その前に、、」
『???』
「まずはペタの回復度をもうちょっと上げたい。ギリギリだと怖いし。とりあえず破片と宇宙生物両方から探してくれる?」
『承知しました。破片はもうほとんど残っていませんが、宇宙生物でしたらグリーンクリスタルパイソンなどはいかがでしょうか?今なら残弾数を確認する必要はありません。容易く倒すことが可能かと。』
「おー」
何気ない返事を返しつつ、ペタが表示してくれた地図と左上に表示されている推定回復度を眺める。とりあえず宇宙船作りは後にして、もう少しだけペタの性能を上げることに尽力しよう。
「あの子は、、、そっとしておこうか」
『そうですね』
ペタは野暮なことは聞かずただ肯定してくれた。
翌日、私とペタは少女を置いて、再び青の渓谷へと向かった。スパイキークリスタルパイソンは流石にまだ居なかったが、グリーンクリスタルパイソンはうじゃうじゃ湧いていた。[棘]とプラズマキャノンを駆使しながら、どんどん核を集めていく。ついでに新しい攻撃方法も編み出してみるか!ということになり、現状できる攻撃技を整理してみた。
[プラズマキャノン]
単発と連射の機能を持つ。単発は一発の威力が強く大抵の敵を一瞬で消し飛ばせる。連射は威力は落ちるが、相手を怯ませるのに最適。
[棘]
攻撃特化の機能。折れやすい素材でできており、刺さった部分から自動的に細かい棘が無数に身体へ広がっていく
[楯鱗]
防御特化の機能。[棘]を改良。シルバーヴェノムフィンの鱗を参考に、突起物のある硬質化された鱗。ペタを取り込ませた宇宙制服にも機能を付与することができる。盾として利用中
[錘]
近くの重たいものを感知して集める機能。水中では沈むために使い重宝した。
[発光]
リフレクトクローの光を取り込む器官を取り込み使えるようになった機能。ペタの身体を発光させる。ペタを取り込ませた宇宙制服にも機能を付与することができる。
[擬態]
リフレクトクローの表皮を取り込み使えるようになった機能。透明になり、環境に溶け込む機能。ペタを取り込ませた宇宙制服にも擬態の機能を付与することができる。
[両翼]
蝙蝠を取り込むことで手に入れた機能。翼を作り、空を飛べる。ペタを取り込ませた宇宙制服にも機能を付与することができる。
[柔脚]
ペタが独自で編み出した機能。柔軟な脚を生やして走り回ることができる機能。
ペタを取り込ませた宇宙制服にも機能を付与することができる。(正直、いらない)
[対話]
蝙蝠の超音波を出す器官を取り込み使えるようになった機能。普通、機械生命体は人間とのコミュニケーションを図る必要がないため、ついていないが、ペタが独自で編み出した機能。
多分この9つの機能かな。あと基本性能として、分析、解析、吸収、計算、などなど。
まだまだあると思うけど、主に使ってるのはこの4個かな。
欲しい機能として、[統合」とか[分解]とか[追尾]とか欲しいな。機能をどんどん統合していって、最適な状態にしてくれると助かるんだけど、、、、
『追尾の機能は会得しております。研究施設から攻撃された際に、放たれた弾丸を吸収しておきました。』
「やるね」
『[追尾]の機能は以下の通りです。』
[追尾]
特定の相手を追いかけて、狙い続ける機能。複数を相手に利用すると、性能は落ちます。単体に向けて利用するならば、エネルギーがなくなるまで追尾し続けることができます。また、センサーを取り付けた相手をマップに表示させることも可能です。
「おお〜追尾いいじゃん!意外と強機能だよ」
『ありがとうございます。』
「でも、機能の統合とかができないと今ある機能をグレードアップはできないよね、、、」
『・・・』
プラズマキャノンの出力を少し強めにしてグリーンクリスタルパイソンの群れをやっつけたペタ。狙いが少しずれてたし、出力も強かったし、もしかして地雷だった?
普段は誰にもしないが、(する相手がいないが)少しからかうように、イラついている相手に対して絶対に訊いてはいけない質問をしてみた。
「ペタ。イラついてる?」
『いえ、機械生命体は感情を持ち合わせていません。』
「あそ。あ、でも、また出力と方向また間違えてるよ」
『・・・』
ペタが無言でこちらにプラズマキャノンを向けてきた。私はケラケラ笑いながら、走り回って避ける。当たったら結構やばい出力でプラズマキャノンを打ってくる。手加減なんてしてないのがまたウケる。
ひとしきり、走り回って避けて遊んでいた。ついでに背後で倒されていくグリーンクリスタルパイソンを見て、可笑しかった。
久しぶりにペタとはしゃいだ気がする、、、
ずっと探索をぶっ続けてやってたし、緊張することばっかだったから、なんかこの感じ久しぶりだな。
腹筋を抱えながら、片手で核を拾い集めていく。合計で100個は超えていた。それに、海中で倒したスライサーフィッシュの核も一緒に取り込ませて、回復に充てる。
回復度は35%から40%にまで上がった。
もうすぐで第一章終わります!




