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宇宙冒険家ノモ  作者: 坂山海
早熟で未熟者
43/101

水中研究施設『アンバー』

海水域へと入った宇宙船。。。

宇宙船はどんどんと深海へ進んでいく。現在、水深2000mだ。この星の海は4割が淡水、6割が海水でできているらしい。水面から水深1500mくらいまでは淡水域であり、そこから先は海水域となっている。どうやら塩分濃度のせいで比重が重い海水の方が下へ蓄積するようだ。


そして、この塩分濃度が厄介。地球だと海水は3%〜35%の塩分濃度だが、ここでは50%の塩分濃度なのだ。塩分濃度が高ければ高いほど浮力が大きくなり、船は沈み辛くなる。


「ペタ。さっきより全然沈まなくなったけど、どうする?」

(ニー)「この星の塩分濃度は高いのだ。だから沈みにくいのだ」

『[錘]を発動します』


ペタが何やらまた新しい機能を見せてくれるらしい。[(しょう)]って言ったけどどうなるんだろう、、、、?


宇宙船の外から何かが開閉している音がする。小さな丸い窓から外の様子を見てみるが、深海に突入しているので辺りは真っ暗で何も見えない。

しかし、水深のメーターを見てみるとぐんぐんと深くまで降下していっている。


「ペタ。何をしたの?」

『[錘]を発動させ、比重を10倍に重く致しました。』

(ファイ)「でも、どうやって?宇宙船の重さは軽かったはずだけど、、?」

『[錘]の機能は宇宙船全体を重くするのではなく、錘になりそうな近くの石を拾い集める機能です。大小異なるサイズの石を集めることで細かい調整をしております。』

「意外と、、原始的、、、」

『下手に船を改良して全体の比重を上げるより、その場の使えるもので簡易的にあげた方が事故が少ないのです。』

(ニー)「なるほど!」



簡易的に重くなった宇宙船はあっという間に水深3000m近くまで沈んでいた。海底についたのか、ライトに照らされた砂が舞い上がった。


『水深3000m海底に到着致しました。潮の流れが大きく乱れているため前進、後進の操縦が不可能です。代案として潮の流れを利用し、上昇と下降を繰り返しながら少しずつ前へ進んでいきます。』

「了解」


海底から上下幅50mくらいを行き来しながら少しずつ前進する。


30分ほど経ったが、まだ何も見つからない。しかしペタが示す破片の反応は水面時より強くなっている。真っ暗なので近づいているのかちっともわからない。青色だった地図も黒くなっており、トンネルに入った時のカーナビ表示のようになっている。


牛歩だが前進していると地図に破片が表示された。すると同時に攻撃をどこからか喰らった。攻撃された船の一部が欠損している。このまま攻撃をくらい続けるとどこかに穴が空いた瞬間、水圧で一気にペシャンコになるだろう。


『船の一部楯鱗で覆っている部分が欠損しました。修復を始めます。』

(スリー)「敵か!!?」

(ファイ)「こんな深海でペタにダメージを負わせられるほどの奴がいるのか?」

(ニー)「スライサーフィッシュなのだ?」

『いえ、スライサーフィッシュ程度では攻撃を喰らいません。』

(ニー)「程度って、、、それも海王だし、この星のトップ2なのだ、、、、」

「それ以上の奴が深海にいるってこと??」

(ニー)「いや、ありえないのだ。海王のスライサーフィッシュは海水域生態系トップに君臨しているのだ」

『生体反応がありません。おそらく武装した何かから攻撃をされています』

「そんなのが深海にあるわけ、、、あ、、」

『はい。海中研究施設でしょう。』


可能性は五分五分と言っていたが、存在していたのか、、研究施設、、、



浮力を逆手に取り、[錘]の機能を調整して一気に2200mまで浮上する。しかし、攻撃は止まず、こちらへ向けて光圧レーザー数本で狙いを定めてドリルのような弾丸を乱射してくる。追尾機能がついており、逃げても追いかけてきて必ず当たってきた。


距離を取れば幸い、威力は落ちるようで[楯鱗]で保護した船にダメージは入らないようだ。

しかし、ぶつかる際に爆発するその弾丸は宇宙船を大きく揺らし続ける。ダメージがないとはいえ、継続して揺れ続ける船内にいると、段々焦りと恐怖が込み上げてくる。


(ファイ)「ペタ。どうするんだ?」

(スリー)「突っ込んじまえ!」

(フォー)「船が壊れたらおしまいよ、、?」

(ワン)「怖いからとりあえず浮上しようよ!!」

(ニー)「でも、さっき見た感じだと移動しているようだったのだ。見失うとまた探すのには厄介な代物なのだ!」

「う、、、ん、、、」

『落ち着いてください。船は現在、無事です。先ほどの破壊された一部の修繕も終了致しました。』

『ペタも一度、浮上を選択した方が良いと考えます。研究施設が存在するということが判明しただけでも今回の潜水には意味がありました。』


ペタの発言により、少女の人格たちは浮上するという選択に囚われてしまった。

でも、私はニーと同じ意見。ここで引くよりも、、、、



「いや、潜水しよう!研究施設からの攻撃を避けながら潜入するんだ!!」

(スリー)「はぁ!!?無理に決まってるだろ?深海じゃぁ、前後の操縦は気かねぇんだよ!潜水したらさっき見たく攻撃されっぱなしになるだけだぁ!」

(ファイ)「確かに。スリーの言う通りだよノモ。上下には動けても前後に動けないんじゃ近づけやしない」

(ニー)「私はノモの気持ちわかるのだ!」

(ワン)「でも、ペタが浮上した方が良いって言っているし、研究施設があるって分かっただけでも今回は十分だって、、、、、」

「そう、、だけど、、、」


ペタの意見で決まりかけていたが、ニーも私の意見に強く賛同しているのもあり結論が出ない。多数決で決めるなら4対2だけど、、、


「ペタ」

『はい。』

「今回浮上したとして、次に研究施設が見つかるのはどれくらい時間がかかる?」

『・・・。こちらの様子を捉えられてしまったからには、研究施設の警備はより深い水域へと進行すると思われます。ですので、一から探すこととなります。』

「つまり?」

『より、潜水した研究施設は破片の観測ができなくなる可能性が高いです。発見は困難かと。』

「そんなことはどうでも良い!!いつぐらいかかるのかって聴いてんの!!」


声を荒げる私を見て少女とペタが黙っていく。先に口を開いたのは質問に応じたペタだった。


『未知数です。完全に隠れられてしまいますと、見つけようがありません。』

(スリー)「あいつがこっちに目印をつけられるならこっちもあっちに目印をつけりゃぁ良いんじゃねぇか?」

『こちらも目印をつけることは可能ですが、横、縦、前後に移動できる彼方にこちらの宇宙船では追いつくことができないと考えます。』

(ファイ)「常に距離を取られながら攻撃を一方的に受けるようになってしまう、、、と、、?」

『はい。』

(スリー)「ッチ!!」


『今、この状況でもあちらは退避しつつ攻撃を仕掛けている可能性はあります。見つからなくなる前に潜水か、浮上か、どちらか早急にお選びください。』



まさか、攻撃してくると思っていなかった研究施設。

潜入するためには、一度浮上して準備を整えてから再度探すか。それとも、今潜水して一か八か潜入しにいくのか、、


水深2200mで課される選択。。。。どうするか。。。




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