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宇宙冒険家ノモ  作者: 坂山海
早熟で未熟者
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青の渓谷-下層の洞窟⑤ 脱出と詳細

ペタが洞窟内からの早急な退避を促してから数秒後、洞窟の天井部が断続的に崩壊し始めた。鉱石や巨石が落下して粉々に割れていく。上の落石してくるのにも注意しつつ、落石して粉々に散った鉱石にも注意をしないといけない。少女とペタが急いで避難ルートを探して手を引っ張ってくれていたが、足場が悪すぎて何度も転けそうになる。


坂道になっているところに差し掛かり、少女は飛び跳ねて先へ進んでいくが、私は疲れ切っていて上手く前に進めない。崩壊の影響で発生する激しい振動がさらに足取りをおぼつかせる。なんとか坂道を登り切り宇宙船近くまで来られた。


少し高台に置いてある宇宙船にこっちに降りてきてくれと願いつつ、その高台の壁面を登る。私たちは目の前に広がる壁面を見上げた。高台に鎮座する宇宙船へと続くこの崖は約15メートルくらいだろうか。スリーは二度の軽やかなジャンプで、壁面に生える岩突起を使って瞬く間に頂上に到達した。一方で私は、手に汗を握りながら崖を這い上がっていたが、約半分の地点ですでに限界だった腕は疲労が溜まりやすくなっていた。


その瞬間、上から鋭利な鉱石の塊が崩壊の振動に負けて降ってきた。それはまるで天からの制裁かのように、私のすぐ上を覆い尽くした。慌てて上を見たとたん掴んでいた両手が崖から離れてしまった。


(ファイ)「ノモ!!」

『危機察知。両翼を展開します。』


私が崖から手を離してしまった瞬間、重力の無情さに抗えず空中で仰向けに横になる。上から降ってくる鉱石の塊が鳩尾に迫る光景が目に飛び込んできた。しかし、鉱石の鋭利な先端が触れる前に宇宙制服の背中部分、具体的には肩甲骨付近から何かが動き始めた。


それはペタの新機能、『両翼』が発動した瞬間だった。肩甲骨付近から突如としてドラゴンの翼が現れ、ぱたぱたと羽ばたいた。その力で私は一気に上昇し、落下していた鉱石群を避けることができた。宇宙制服に取り込まれた回復度16%のペタの新形態は、驚くほど華麗な動きで空中の危機を乗り越えてくれた。


そのまま私は『両翼』で宇宙船のある高台へと着陸する。助けに飛んできた少女が崖の下から地団駄を踏みながら何やら文句を言っている。スリーになり、もう一度軽やかにジャンプしてこちらへ戻ってきた。


(ファイ)「ノモ、大丈夫かい?」

(スリー)「せっかく俺が助けに行ってやったのに!!」

(ニー)「それ、かっこいいのだ!!」


私は「ごめん」とはにかみながら宇宙船へ乗り込んでいく。少女も宇宙船に乗り込み、操縦席前列に座った。宇宙船を起動させ離陸し始める。すると今までで一番大きな揺れが洞窟内の岩石や鉱石を震わせた。さっきよりも大きな岩石と鉱石が宇宙船の一部にゴッ!という鈍い音と金属の軋む音、砕け散った岩石がパラパラと時間差で鳴らしていた。


(ファイ)「しまった!!飛び立てない!!」

(スリー)「どうすんだ!!」

「・・・・」

柔脚(しきゃく)を起動します』


突如、ペタが新たな機能を発動させた。宇宙制服から一瞬で飛び出し、宇宙船と瞬時に一体化していく。そのプロセスが僅かな解析時間を要したが、その間も船体にガタガタと岩石が当たり続けていた。


すると、宇宙船が短く揺れ、突然地面から浮き上がったかと思うと、何かが変わった。底部に形成された2本の巨大な脚が、驚くほど人間のそれに似て地面を力強く蹴り、走り出したのだ。船は左右にわずかに揺れながら進行し、その動きはまるで二足歩行する巨大な宇宙生物が走っているかのよう。船内から外を見ると、その感覚はなおさら強まり、まるで大型宇宙生物の腹部から外界を眺めているかのような不思議な感覚に襲われた。


洞窟を抜け出してからすぐに入り口が崩れ落ちて塞がれた。間一髪のところで脱出できて、安堵する二人。ペタが生やした脚で私たちが乗っている宇宙船はそのまま渓谷を走り抜けながら渓谷の壁面の凹凸を足場にしつつ登っていく。

あっという間に地上へと戻ってきた。



ーー青い渓谷周辺-地上ーー


(スリー)「なんとか逃げれたな」

(ワン)「そうだね〜、、、」

「ギリギリだった、、、」



宇宙船を降りると異様な姿の宇宙船に少しの沈黙が流れる。

脚の生えた宇宙船ははっきり言うとキモい。例えるならばにゃんこ大戦争の美脚ネコだろうか、、、そんなイメージ。流線型の宇宙船だったものは岩石が降り注ぎ、ボコボコになっている。底の方からは大きな美しい人間の脚が2本ある。


私たちが宇宙船を凝視していると、ペタが宇宙船から分離して出てきた。チビドラゴンの姿で。


「ペタ!色々聞きたいことがあるけど、、まずは、、、助けてくれてありがとう」

『いえ、無事で何よりです』

『それで、質問というのは何でしょうか?具体的には以下の三つと予想しております。』


ペタがこちらの質問内容をあらかじめ予想したデータを3つ送信してきた。


・回復度について

・スパイキークリスタルパイソン撃破について

・形状について


私はまず一番上に表示されている「回復度について」を質問した。


『回復度は現在16%です。詳細は、スパイキークリスタルパイソンの卵の核14個。宇宙船の破片8分の1スケール1個。(前者回復度約4%。後者回復度10%)です。』


「おお〜」

(スリー)「やっぱり、破片の方がちゃんと回復できるんだな」

(ファイ)「だろうね」

(ニー)「もう私が解析して注入してあげなくても取り込めるようになったようなのだ、、、」

「そうね」


ニーは少し残念そうだが、この回復度の大幅アップは助かる。それに、強い相手にはより多くの回復度が得られることも証明できた。前は個体差なのか、そうでないのかわからなかったが今回でハッキリと判明した。


私は引き続き表示されている残り二つの質問の回答をお願いした。



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