青の渓谷-下層の洞窟② ペタ頼り
グリーンクリスタルパイソンの群れとスパイキークリスタルパイソンがいる奥に今までよりもはるかに大きな宇宙船の破片を発見したノモ。。。
ーー3:50 臨時作戦会議ーー
さっきまで休憩中の和気藹々としていた場所は、緊張と恐怖が張り詰める場へと変わってしまった。
(ファイ)「え、、どこにあるって?」
「だから、ここ。この大きい蛇の奥に今までで最大の破片があるの。これをどうしても取りに行きたいんだ。ペタが大幅に回復するチャンスだから」
(ニー)「いや、ダメなのだ。この洞窟はあいつらの拠点。すなわち環境的にはあっちが圧倒的に有利すぎるのだ!」
ニーが眉をひそめながら今までに無いくらい切羽詰まった声で説得してきた。リスク管理能力は少女の人格達の中でトップなんだろう。あまりの正論に、ファイも口を開こうとはしなかった。
「でも、、、」
(ニー)「スパイキークリスタルパイソンの獰猛さはこの星で1位2位を争うのだ。それに統率力もあるから、グリーンクリスタルパイソンの群れを引き連れて徐々にこちらへ向かってきている。早く退散しないと囲われてしまうのだ」
「ぐぬぬぬ」
(ファイ)「ノモ。僕もこのチャンスは分かってる。でも、この数ではあまりに危険すぎる。破片はここにしかないわけというわけではないだろう?」
「そんなのわかんないじゃん!」
急いで判断しないと、、ニーの言う通りこちらへ向かってきているし、、、
でも、取りに行けたらペタの回復度は間違いないだろうし、、、
どうしよう。。。
二人(2対1だが、、)の意見が割れ、硬直状態になってしまった。仲違いをしている暇なんて無いのに。。。
沈黙が流れるが振動は大きくなってきている。奴らは待ってはくれない。もうすぐそこかもしれない。するとペタが3発に分解していたプラズマキャノンを全て取り込み始めた。
やる気だ。。。
その様子を見ていた二人は意思を固め、退散するよりも闘う方面へと頭をシフトした。どうやったら倒せるか、、、どうやったらその後逃げられるか、、、
思考がまとまらず、沈黙がさらに続いていた。
すると意外なやつが口をひらく。
(スリー)「ペタが奥の宇宙船を取り込む間、俺たちが囮になるってのはどうよ??」
「、、、」
「ん?」
(スリー)「いや、だから、、俺たちが囮になって、ペタの機能を底上げする時間稼ぎをするんだよ。プラズマキャノンは取り込んじまったみてぇだし、ペタもそのつもりなんだよ」
「ちょっと、、」
「イマイチ飲み込めないんだけど、、?」
「なぁ!っんっでっだよ!」
(ファイ)「スリー、、、つまり、ペタの機能を活かしてプラズマキャノンの威力を底上げしようってことかい?」
(スリー)「だからさっきからそう言ってんじゃーねーか!!」
「いや、言ってないと思うけど?」
(スリー)「オメェの理解力が欠如してぇんだろ!!」
グッ
喧嘩する時ではない。が、一回深呼吸だ。
スーーーー
ハーーーーーー
(ファイ)「よし!ならそれで行こう!ペタ!どれくらいまで回復できたらいけるんだい?」
蝙蝠ペタが宇宙制服に入っていく。表示してくれた数値は、、、
「5%だって!」
(スリー)「確か、今、2%だったっけか?」
「そう、、だからあと3%回復しないといけない、、」
(ファイ)「どれくらい時間稼ぎすればいいんだろう、、?」
「!!」
数値がタイマーへ変わり、表示された時間をファイの方にも共有する。
「これ!」
「5分か〜」
(ニー/スリー)「長いなー/余裕だな!」
「どっちよ、、、」
(スリー)「俺なら5分程度あいつの囮をするくらい余裕だぜ!周りのちっこい蛇は倒せるしよ!」
「そうね、、、ちっこくは無いと思うけど、、、、私は足手纏いになるからペタの方に着いていくわ」
(スリー/ファイ)「りょ〜か〜い/了解!」
私とペタは蛇達に気づかれないルートを慎重に進んでいく。破片が落ちているのはドーム状になっている巣の中だ。蛇達が拾ってきたようにも見えるが、こんなもの拾ってどうするつもりなのか、、、
足音を極力無くしながら、ペタの新たな機能を使って進む。この蛇達は体温に敏感に反応するとニーが言っていた。そして、ニー曰く、宇宙制服の外温調整機能で周りの温度と同じに設定することで気づかれないようになるのでは無いか。と言っていた。
その予想は的中し、蛇は近くに何匹もいるが全く気づかれる気配は無い。音を立てなければ、、、
ペタの案内でなんとか巣の裏側まで来れた。しかし、入口の方には大きい蛇と一回り小さい取り巻きの蛇達が数匹いる。目視で何匹か確認し、目的地についたことを知らせた。
知らせると同時にスリーが正面から特攻してきた。
バリ!!バリッ!!バリバリバリ!!!!
大きな硬い結晶がいくつも破壊されていく音が洞窟中に響き渡り始め、大きい方の蛇が前に興味を示し始めた。次々とやっつけていくスリー。
戦っている姿はかっこいいんだけどな〜、、、、アイツ。
ーー作戦会議の時ーー
時間稼ぎの策について考えていた。
(ファイ)「じゃあ、時間稼ぎね。」
(ファイ)「ペタが破片を取り込んで回復する間、何か気を引く手段はないかい?」
「ペタが取り込んだプラズマキャノンがある。残弾数をさっきみたいに分解して音と光で、驚かせたりはどう??」
(ニー)「いや、少しでも威力は温存するには得策では無いのだ」
(スリー)「なぁら、、俺が正面から突っ込んでまずちっこい方の群れをぶっ飛ばす!」
「え、うん、、」
「その前にお前らが巣の裏に行ってこっちに連絡よこせ!そしたらアイツら壊し始めっから」
「え、はい、、」
「アイツらの気ぃ〜引いてる間に巣に入って宇宙船の破片を取り込んどけ!」
コクンと頷く。
「ちゃぁんと聴ぃいてぇんのかぁ!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オラ!!!オゥゥラァァ"ァ"!!!!!」
聞き覚えのあるセリフと共に、スリーはジャングルを飛び回る猿のように蛇の頭から頭へと飛び移りながらやっつけていく。あっという間に蛇の群れは片付いて行った。
残りの取り巻きらしき蛇と大きな蛇だけが残る。。。
おっと、見てないで今のうちに巣に入り込まないと、、!私は蛇どもがスリーの方を見ている間にスッと巣の中に入った。
中は大きな卵形の結晶がいくつもあり、その奥に、宇宙船の破片があった。
大きい。宇宙船全体の8分の1ほどだろうか、、今までの破片の何倍もの大きさだった。早速ペタが宇宙制服から出て、取り込み始める。しかし、ここで思わぬ障害があった。
なぜ、巣に宇宙船の破片が必要だったのか、、、
それは、宇宙船に付着しているペタの力を取り込むためだったらしい。ペタの取り込む速度と卵が取り込む速度が拮抗して、なかなか回復できない。卵を壊そうとするが、ただの宇宙制服になっている私の力では頑丈すぎてびくともしなかった。
始めに想定していた時間の倍はかかりそうだ。すぐにスリーに連絡しようと思ったが、下手にペタの取り込みを邪魔すると拮抗している状態から負けてしまい、全て卵に取り込まれてしまうかもしれない。なんとかして卵の数を減らさないと、、、、
ペタが自力でスリーの方へなんとか表示させた。
[残り時間15分]
(ワン/ニー/スリー/ファイ)「はぁ!?」
取り巻きの蛇3匹のうち一匹をなんとか倒したスリーはもう疲弊していた。。。
続く。。。
評価、保存お願いします!!




