青の渓谷-下層の洞窟①
ーー2:30 宇宙船内で作戦会議ーー
「アレって?」
(ファイ)「いや、大丈夫」
「ペタの反応が強くなってきたけど、どこに進めばいいかな?」
(ファイ)「ペタがさっきの着陸する時みたく、案内してくれれば簡単なんだけどね」
「確かに、、、」
(ニー)「こっちのレーダーで見る限り、洞窟の下層に強い反応が出ているのだ。でも、グリーンクリスタルパイソンも下層になるに連れて群れでいると思うのだ。。。奴らに気づかれないように進むのは難しいと思うのだ」
「ペタは中層あたりの洞窟と渓谷の狭間ら辺を示しているけど、、?」
「うーん」
「…」
どうやら私のペタが示しているデータと少女のこの宇宙船が示しているデータでは、相反するデータ表示をしているのが私たちを困惑させている。ペタの方が性能はまだ劣るが、さっきの着陸する際の活躍が信頼できる要素としてある。しかし、長い間ここに住んでいる少女と、その宇宙船が出しているデータへの信頼は新しくきたこちらのデータを信じるより容易いだろう。
どちらを信用して進むべきか悩んでいると、ファイが何かに気がつく。
(ファイ)「もしかすると、ペタのデータってこっちが出しているデータのことを言っているんじゃないかな?」
「、、、?」
「どういうこと?」
(ファイ)「いや、こっちのデータとペタのデータを重ね合わせてみると、同じ場所を示しているんだよね。ほら」
ファイがペタつてに、二つのデータが合成されたファイルを送ってきた。
確かに同じ場所を示している。
「それってどういうこと、、、?」
(ファイ)「う〜ん。。。多分ペタのデータは深さ(Z軸)のデータがまだ曖昧なんじゃないかな?横軸(X軸)と縦軸(Y軸)はあっているけれど、深さ(Z軸)がずれていると思う」
「つまり、、、?」
(ファイ)「示している場所は一緒だけれど、道のりを含めるとこちらの宇宙船が示しているデータということになるんじゃないかな?」
「なるほど」
「ならそっちのデータで進みましょ」
機械には疎い私でもわかりやすく説明してくれるファイ。ニーとは違う知的さを持っている。スリーなら怒鳴り声をあげてこちらの意見に反発するだけだろうな。。。
進行方向が決まったので、次は持ち物の確認をしていく。
宇宙船は地形的に動かしていくことは難しそうなので、歩いて進まないといけない。大荷物を持って移動をしていたら、体力もすぐ奪われてしまうし、何より蛇どもが出てきたら逃げ遅れてしまうからだ。
「荷物は最小限で挑むよね?」
(ワン)「え〜!!せっかくお菓子たくさん持ってきたのに〜」
「…」(いつ持ってきたんだ)
(ファイ)「そんなに持っていけないよ。ノモが言うように持ち物は最低限で抑えていかないと」
(ファイ)「万が一、蛇たちに囲まれた場合に攻撃できるプラズマキャノンは持って行きたいし、他にも目眩しになりそうなものを重点的に持っていこう」
「そうね」
(スリー)「ワクワクしてきたぜ〜〜!!」
作戦会議は終わり、荷物もまとめた。いよいよ地下を探検する。。。
外敵がいないのを確認して、ゆっくりと宇宙船の扉を開ける。大きな音を立てて、気づかれないように、、、
宇宙船を降りると、ペタが大きな蝶々から蝙蝠へと変身した。こちらの方が蛇に気づかれず索敵ができるからだろう。回復度が2%になり、変身のバリエーションも少しずつ増えてきた。
(スリー)「おお、蝙蝠か!これなら、潜入が楽になるな!」
「うん、宇宙船のデータの方を読み込んだからペタが案内してくれるようになったみたい」
(ファイ)「でも、プラズマキャノンの残弾は一発しかない。ペタの索敵を頼りに、ゆっくりと進んでいこう」
(ニー)「ちょっと待つのだ」
「???」
「武器を分解して、3発に増やせるのだ。威力は弱まるけれど、弱点を狙えば隙は作れると思うのだ」
「おお〜」
(ファイ)「一人一本持っていこう。ペタにこれを取り込ませて、打てるようになってもらおう」
「了解」
ペタに分解して3発にしたプラズマキャノンの一つを取り込ませる。ペタは解析を始めつつ、索敵を引き続きしてくれている。取り込みが終わったら、こちらで確認できるように画面の左上にわかりやすく取り込み度を表示してくれた。
仕事のできるやつだ。。。
ペタ-(蝙蝠バージョン)はゆっくりと青の渓谷下層へと進んでいき、私と少女は安全なのを目視でも確認しつつ、ゆっくりとその後を追う。狭い洞窟を抜け、分かれ道を進み、腰くらいの水が溜まったところを抜けていく。
歩き始めて、1時間ほど経ち、少し休憩できる場所があったので休憩を取ることにした。
(ファイ)「破片の反応がさっきより強く出るようになってきたね」
「もうすぐで着く?」
「あと半分くらいだと思うけれど、、」
(ワン)「お菓子食べよ?お菓子!」
「フー、、、ここらで、ちょっと休憩しましょ」
持ってきた(これでもだいぶ減らしたが、、)お菓子をつまみながら、休憩をとりつつ蛇が出た時の対処法について話をし始めた。
テロン
「ペタがプラズマキャノンの解析が終わったみたい」
プラズマキャノン(弱体化済み)を取り込んだペタ(蝙蝠バージョン)の尻尾の部分が小銃の消炎器のような形に変化している。おそらくここから発射されるんだろう、、、
(スリー)「あんまり変化したところは無い、、、?」
「いや、尻尾が火器のようになっているよ」
(ファイ)「ほんとだ」
(ファイ)「初期より大分機能が増えてきたね。解析能力が格段に上がっているようだし」
私はペタが以前より認められているのを感じた。自分が褒められるよりも嬉しい
という感覚は初めて感じた。学園の先生たちが自分の受け持つ生徒を上司から褒められた時に嬉しそうだったのはこのような感覚だったのか、、、な、、。
少し感傷に浸っていると、洞窟内が大きく振動し出した。何かがはいずるような音と共に、、、
「な、なに、、?」
(スリー)「大きいな、、、」
索敵をしていたペタが急いで戻ってきて、情報を共有してくれた。
そこには、グリーンクリスタルパイソンの群れと他にそれよりもはるかに大きな蛇が写っている。
(ニー)「スパイキークリスタルパイソンだ、、冬眠中のはずでは、、、無いのか、、、」
眼前に迫ってくるような迫力ある映像データが巨大な蛇型宇宙生物、スパイキークリスタルパイソンを捉えたところで終わる。どこかへ、移動している、、、のか、、?
(ニー)「厄介なやつが目を覚ましてしまった。探索はここで終わりなのだ」
「えっ、、、うん、、、でも、、あいつ倒せないの?」
(ファイ)「むりだ。あいつはグリーンクリスタルパイソンなんかより何倍も強い。奴らの表皮の10倍以上の硬さを持つ表皮で全身を覆われているし、特に、顔はさらに頑丈だ」
「そんな、、」
ここまできて、破片を諦めるのか、、、
このなんとも言えないやるせなさは次第に、ペタが撮ってきた映像データを見返すたびに恐怖心の方が勝っていった。。。
しかし、私はその恐怖心増幅映像データを何度も見返していると、大きい蛇の奥に遠くてサイズがイマイチ分からないが、今までの破片より明らかに大きな宇宙船の破片が見えた。
「待って、、、ここ、、宇宙船の破片がある!しかもとびきり大きい破片!!」
なんとか戦わないで、あれだけペタに取り込ませられないかな、、、、??
グリーンクリスタルパイソンより、何倍も大きく、硬い表皮をもつスパイキークリスタルパイソンが現れてしまった。。冬眠中だったのだが、なぜか起きている。。。ノモは宇宙船の破片はGETできるのか、、、




