回復
ーー全速力走って帰り着いた二人ーー
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、
心拍数が極限まで上がり、汗が毛穴という毛穴から吹き出してくる。身体に異変を感じたペタがすぐさま冷却機能を使って太い血管の通っている首筋、脇、太ももを重点的に冷やし始めた。
青の樹海から全速力で走って帰ってきた私たちは1時間ほどで少女の家に帰り着いた。ペタの回復度が1%なのでほんの気持ち、足が軽いかな、、?程度しかアップグレードできず、足がパンパンだ。。。めちゃくちゃ疲れた。。。
スリーは全然大丈夫そう。息切れを少ししているが、まだまだ走れる!!とか言ってる、、、コイツ改めて体力バケモンだな。他の人格者たちもみんなこうなのだろうか、、、?
家に着くまでで、全力を使い切ってしまったので玄関前で仰向けに倒れていた。すると、元気ピンピンなニーが私の頭の上にいた蝶々型のペタをさっと取って連れていってしまった。ペタを勝手に取られて少し気分は良くないが、少しの間ならまあ、いいか、、、
ニーは家の2階の自分の研究室へと入り、ペタと持って帰ってきた高密度のエーテリウムが含有しているリフレクトクローの核(心臓部)を解析しはじめた。
ーー3時間後ーー
そのまま私は外で風を感じていたら寝落ちをしていた。
家の中からドタドタと音を立てながら降りてきたニーの興奮気味の声でようやく目を覚まし、寝起き面でニーの話を聞く。
「ノモ!ペタは超高性能な人工細胞でできたナノテクノロジーなのだ!!すごい!!こんなの初めて見たのだ!!植物細胞のような構造で中に機械の原核生物のように駆動するハードが入っておるのだ!!」
「ナノテクっていうのは知ってたよ。宇宙制服の繊維はナノテクで作られた機械繊維で編み込まれているからそこにペタを入れると機能をアップグレードして使えるって教えてもらった」
「なんだ!知っていたのだ!!?そういうことはもっと早く言わないとダメなのだ!!」
「すまん」
(ファイ)「なるほど、だから宇宙制服を大事にしていたのか、、」
「それもあるけど、チームにもらったものだし、、」
(ワン)「いいな〜その便利な宇宙服!私たちにも作れないの??」
(ニー)「いや、無理なのだ。宇宙制服は作れたとしても、ペタを作り出すことは私にはできないのだ」
(ファイ)「どうしてだい??」
(ニー)「これは私の専門外だし、200年も前の研究者には未知すぎて理解ができないのだ」
「200年前??」
(ニー)「いや、、うん、、、まあ、、」
「どういうことよ?」
(ニー)「この星の時間軸は重力によって少しずれているのだ。多くの人が住んでいるような居住区の星は時差が極力起きないように地球に合わせた重力を人工的に作っているのだけど、ここはそうじゃ無いから、、」
「え、、そうだったの、、、?じゃ、じゃあここはどれくらいなのよ?」
(ニー)「国際地球時刻の4分の1だから地球時刻での200年はここでは50年なのだ」
「ご、、50年??あなた、、そんなに歳には見えないけど、、??」
(ニー)「これには事情が、、、、」
「事情って、、、」
寝起きで回っていなかった脳が話の内容を理解しようとフル回転し始めた。
少女の素性はほとんど明かされていない、、、5つの異なる人格があるということ以外何も、、、
ペタのことは知っていたが、(そうでもないが、、、)この星は地球時刻の4分の1って、、、?
コイツ、少し私より幼いくらいかと思ってたらこの星にもう50年もいるって、、、どういうことよ、、、?
さっき言ってた地球時刻にすると200歳はゆうに越えてる、、、ってこと、、?
でも見た目は全然、、幼いよな、、
頭の中でどんどん疑問が浮かんできて疑問が循環し始めた、、、ダメだ頭が回らない。口をポカーンと開けている私を無視して、ニーはそのまま話を続けた。
「それと、今朝取ったリフレクトクローの核なんだけど、、、ペタの回復に微量ながら貢献できることが分かったのだ!!高密度のエーテリウムの結晶をペタの人工細胞に取り込ませてみたらペタが培養できることが分かったのだ!!」
「ちょっ、、、ちょっと、、、話がいっぱいでついていけないけれど、、、その、、ペタがリフレクトクローの核で回復できるのね、、、?」
(ニー)「そう!!!」
「それは凄い助かるけれど、、、、、どのくらい今回復したの??」
(ニー)「1.02%なのだ」
「本当に微量ね、、、やっぱり宇宙船の破片からの方が期待が持てそうね、、、」
「そう、、、宇宙船の破片を探すのと、同時で宇宙生物が出てきたらスリーに倒してもらうのが最も効率が良いのだ」
「そうね、、」
「って言っても大型の宇宙生物じゃないと意味がないと思うのだ。高密度のエーテリウムを含有できるほど強くて大型の宇宙生物でないとほとんど回復できないと思った方が良いのだ」
「強くて大きい宇宙生物と戦う、、、アホが食いつきそうな話題になってきたけれど、、、やってみる価値はありそうね」
「おい、、聞こえてるぞ」
「あら、ごめんなさい?」
「ッチ」
ニーがペタと一緒に持ってきた高密度のエーテリウムを含んだ核は濃紫のような結晶だったがペタに注入したからか、透明の結晶へとなっていた。もうエーテリウムが含まれていないのか普通の水晶のようになっている。
思わぬ情報が次々と出てきたが、エーテリウムでも回復することが分かったのは大きい。早く回復させてこの危険な星から出ないと、、、
「なら、早く準備して出発しましょ?他の破片集めと大型宇宙生物の討伐を始めたいし」
(ファイ)「そうだな、、僕たちの宇宙船を使って広範囲に捜索をした方が効率がいいだろうな、、」
「え、、宇宙船あるの?」
(ファイ)「えっうんあるよ」
「なんで初めからそれで樹海に行かないのよ、、、」
「・・・」
ファイも意外と、、、抜けてるな、、、。
ペタが私の方へ飛んできた。回復してさらに大きな蝶々になっている。アゲハチョウくらいからゴリアテチョウくらいだろうか、羽を広げ切った大きさは20cmくらいかな、、?
ペタは私の頭の上に少し止まってから、ファイの頭の方へ向かっていった。
ファイの頭の上でくるくると何度も飛び回っている。
ペタに馬鹿にされてやんの、、、
ニーがパッドで地形を確認する。
「次は青の渓谷にペタと同じ反応が出てるのだ。そこに破片がある可能性が高いのだ。」
「了解、そっちに向かおう」
私たちは地下のガレージに行き、ファイは早速宇宙船の整備を軽く始め出した。
これまた古いタイプの宇宙船だ。戦闘機のような流線型のデザインでスピードは出そうだがすごく狭い、、、荷物を乗せると余計に。
整備はファイに任せて、私は荷物をどんどん積んでいく。。。
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