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宇宙冒険家ノモ  作者: 坂山海
早熟で未熟者
30/101

墜落した船を探しに④

宇宙船の破片を早速見つけたノモと少女。

宇宙制服の基本機能を使ってインベントリにいれ、ペタに分析を始めさせていた。。。


ーー翌朝ーー

寝不足気味の私は、もう一人がまだいびきをかいていて暇なので、消えていた火をもう一度炊きなおしていた。

火おこしって意外と難しい。ファイアースターターを使って火を起こそうと何度か試みるが、チリチリと細かくなったマグネシウムが雪のような火花を散らす。


うまくいかないので、マグネシウムを削る量を増やし、力一杯削って思いっきり、火花が散るように腕を振り抜く。


着かない。。。

ヤケクソになっていた私を見て、宇宙制服からペタが蝶々の姿へと変わり動き出した。火種になるように木の皮をほぐしてある所の上でペタが意味不明な動きをし始める。羽をわざとぶつけるようにして飛び始め、火花が散り出した。そんなことでうまくいくわけが、、、


ボッ


大きな火花を散らそうとした私は貯めて貯めて解放していたが、ペタは常に小さな火花を継続して散らし続けることで火種に触れる火花の面積を大きくすることで早く火をつけたらしい。


ま、まあファイアースターターなんか使って起こさなくても非常用バーナーで着けることはできたんだ。。。やってみたかっただけだし。


火がついたので薪をくべていたら少女が起きてきた。

「おはよ〜、、」

「おはよう。火つけたから(ペタが)シチュー温め直してたべよう」

「オネシャス」

「おい、、」


昨日調理する時に使っていた大きめの石を火の周りに三つ持ってきて、その上に昨日の残りが入ったシチューの鍋を置いた。

しばらくすると、ポコポコとシチューが煮立ってきたので、取り分けて寝ぼけているやつに渡した。寝起きの丸顔状態でうまうまと匙でシチューを食べている。

なんだか、餌付けしている気分。。。


シチューを食べ終わり、火の後始末をしてから最初の家の方へ向かう準備をしていた。


すると、昨日現れたリフレクトクローがすぐ近くで眠り始めているのを見つけてしまった。もう、日はだいぶ上がってきたし、活動的にはなってないみたいだけど、、、(スリー)に知られると絶対戦おうとするだろうな、、、


幸い、(まだ誰が今主人格なのか知らないけど、)気づいてないっぽいので、スルーできそうだな。


(スリー)「あれ〜!!リフレクトクローがいる〜!!」

(バカが、、気づかないでくれって!!)

(スリー)「よし、!俺に任せろ!!ぶっ倒してくる!!」

「いや、危ないし、、、ね?」

(ファイ)「いや、大丈夫だろう。寝ているみたいだしぃぃぃ〜〜!!、、」


(ファイ)に変わったと思ったら主人格の意思を通さずに(スリー)が無理やり身体を乗っ取ってリフレクトクローの方へ走り出した。


「オゥラァアア"ーーーッヨ!!!」


どこから取り出したか、(スリー)の手には大きな斧を持っている。高く飛び上がり、リフレクトクローの真上から思いっきり振りかぶった一撃を頭部めがけて喰らわした。


バリーーーーン"!!!!!!


ガラス窓を思いっきり割ったような激しい不況音が青の樹海中に響き渡る。。。


どうやら昼間で光を吸収中のリフレクトクローはお休み中だったらしいが、、寝込みで頭部をかち割っているこの絵面、、、結構やばい、、大丈夫か、、、?


リフレクトクローの胴体はビクッと震え、四肢は一瞬だけピーンと伸び切ってからすぐにぐたりとヘタった。。。頭部破壊に身体の反射機能が遅れてやってくる一部始終を見てしまった。ぐ、グロい、、


リフレクトクローはその後うつ伏せに倒れ込み、趣味の悪いインテリアでよくある虎のラグのようになった。この星に来て初めての戦闘らしい戦闘をした今回は、敵との攻防の末の勝ち!!!とかではなく、普通に狩りをするイメージ。


相手が油断している隙をそのまま仕留める。最も安全で確実な戦法だ。無策で好戦的なイメージのスリーだと、てっきりわざわざ虎を起こして挑発して怒らせた後に戦闘狂じみた狂気の笑顔を浮かべながら戦おうとするベジータタイプと思ってた。


青黒い血があたりに広がっていくが、お構いなしに手を突っ込み何かを探し始めるスリー。。。お目当ての物が見つかったのか、腕に力を入れてしっかりと掴み込み、


ズボッ


という音と共に青黒い血に塗れた結晶?のようなものを取り出した。


(スリー)「こいつの心臓の鉱石が高密度のエーテリウムってのを含んでいるんだろ?」

(ファイ)「そうそう、よくやったねスリー。ニー曰く、それが少し必要らしいからね。」

「えへへぇ、、そうかぁ、、??」

(ファイに褒められて嬉しそうだなコイツ)


外から見れば青黒い血で塗れた右腕と、自分で自分を褒めてヘラヘラしているようにしか見えないその姿は恐怖以外の何者でもないが、、、私はやっと"少し"慣れて来た。。。


私は汚物を睨むような険しい表情で少女を見ながら、それをどうするのか聞いてみた。


「で、"それ"。。。どう使うつもりなの、、、?」

(ファイ)「ニーはまだ寝てるっぽいから良く分からない。でも必要らしいよ?」


そういえば、こないだ「危険な鉱石なのだ!」って言ってたけどどう使うんだろう。ペタの回復にも使えるのかな?宇宙船の操縦に大体35%使うってリーダーのアリアさんが言ってたんだよね、、、


「あのさ」

「?」

「私、昨日の晩に帰り方について考えてたんだけど、、」


ファイは静かに振り向き、こちらの話を聞き始めた。


「多分帰るには、この動物型の機械生命体ペタの機能を回復させないといけないと思う、、」

(ファイ)「うーん、、その『ペタ』は帰還に必要な機能の何を持っているんだい?」

「ほぼ全部だと思う。船のルート決めや操縦。宇宙資源の分析、調査。探索家の健康状態の計測や異常事態の把握とか、、、かな。探索家が欲しい機能全部盛りセットだった気がするの。他にも機能はあるみたいなんだけど詳しくはよく知らなくて、、」

(ファイ)「なるほど、、ね。ならノモが帰れるようにするためには、ペタの機能回復という目標に絞って行動した方が良さそうだね。ペタは初め、どこにいたんだい?」

「一番最初はこの宇宙制服を完全に修繕した時に小さい蝶々として服から出てきた。次は、昨日取った宇宙船の破片を夜の間に分析させてて、今朝気づいたら少し大きめの蝶々になったって感じ。モンシロチョウからアゲハチョウくらい?かな」

(スリー)「ふーん。。。で、今のペタは機能回復度合いはどのくらいなんだ?」

「1%くらい。小さい蝶々の時は多分0に近かったから昨日まで機能が何も使えなかったんだと思う」

(ファイ)「昨日の破片を取り込んでから、今日は何か使える機能が増えたのかい?」

「火をつけれるくらいにはなったよ、、?」

(ファイ)「う〜ん、、、そっか、、」

(スリー)「使えな」

「あ"ぁ"?」

(ファイ)「まあまあ、、それで、ノモ。ざっくりでいいんだけど、ペタの回復度がどれくらいになったら星へ帰れそうなんだい?」

「50%くらいだと思う、、、」

(ファイ)「どうして?」

「前いた『ハインライン』ってチームでは常時35%の使用量で宇宙船を操縦しているって聞いたから」

(ファイ)「なるほど、、操縦に35%か、、その他の機能を使うなら最低でも50%くらいは欲しい。っと?」

「そう」

(スリー)「おけ!!なら目標はペタの回復度50%だな!とりあえず、宇宙船の破片を集めて取り込めば、回復することは分かったんだから、他の回復の仕方を探りつつ、破片探索続けていこうぜ!」

(ワン)「了解!それで行きましょ!」


「スリーって話の内容理解できるんだね」

(スリー)「あぁ"ぁ"ん"!!??」

「戦うことしか脳がないのかと思ってた。でもさっきの不意打ちを狙う策だったり今だったり、意外と話が通じるやつだってちょっとだけ認識したわ」

「お!れ!だ!って!そ!れ!く!ら!い!で!き!る!わ!!!」

「うるさい」



一度家に帰って装備を整え直すため来た道を引き返す二人




(ワン)「そういえばさっきチームに所属してたって言ってたけど、どんなチームだったの?」


ワンは何気ない様子で聞いてきた。まあ、確かにあんなに心情深い姿を見せていたら気になるのは当然か、、、

私は、深呼吸をバレない程度にして、自分の所属していたチームについてどう話そうか顎に手を添えて少し考える。


「私のいた宇宙探索家チーム『ハインライン』は私を含めて六人の小規模な探索チームだったんだ」

「リーダーのアリアさん。力持ちなダニエル。クールで綺麗なリナさん。人付き合いが不器用なモーラ。あんまり知らないキイスさん」


蝶々の姿のままついて来ていたペタが私の頭に羽を目一杯広げて、ペタッとひっついてきた。


(スリー)「そいつは?」

「忘れてないよ、、?もちろん。ペタは私の癒しだったんだ〜。猫になったりおっきい犬になったりして。今は多分部品の数が足りないから蝶々にしか成れないんだと思うけど、、」

(ワン)「そ、、、仲が良かったの?チームと」

「うーん、、どうだろう。少なくとも男性陣とはあんまり、、、女性陣は研修二日目の夜に女子会開いて、色々話したりしたから、、」

(ワン)「ふ〜ん、、、仲良さそうじゃん?リーダーはどんな人だったの?かっこよかった?」

「いや、女性なんだけどカッコ良かったよ。宇宙船が壊れて吹き飛ばされそうになってた時もギリギリまで私の手を握ってくれてたし、、」

(ワン)「そっか。かっこいいね。」

「でしょ?」



少しの沈黙があった。まあ、そうなるよね。すると意外な奴が話し始めた。


(ニー)「しんみりしてないで、早く家に帰りましょー。私は研究がしたいのだ〜」

(ワン)「おい、、!感傷的な雰囲気をぶち壊すなよ!ニー!」

(ニー)「だって、つまんないし。歩くスピードどんどん落ちてるのだ」

(ニー)「こんなんじゃいつまで経っても帰りつかないのだ。スリー。代わりに走って家に向かうのだ」

(スリー)「オッケ!任せろ!!」ブンブン


無意味に両腕を振りながら(スリー)に変わった少女はあっという間に見えなくなっていった。おいおい。置いていかないでよ。。


私も1%ペタを制服に取り込んで全速力でついて行った。





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