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宇宙冒険家ノモ  作者: 坂山海
早熟で未熟者
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火蓋を切る

取り上げられた蝶々はグシャリと握りつぶされた。パリパリパリと音を立て目の前で破壊されていく。目の前で広げられた手のひらには真珠色の薄い羽は粉々になり、胴体はくの字にへしゃげ、紫色の液体が染みていた。


ジワン?は両手で粉々になった羽を叩き落とし、真っ白な靴で上からさらに踏み潰した。



「ぃ"や"ぁああめ"ぇろ"ーーーー!!!!!!!!」



地面にめり込んだ蝶々はぴくりとも動かなくなっていた。



(ジワン?)「機械に感情移入とかwまじありえねぇ〜w」

「・・・・・・・・」

(ジワン?)「俺はな!!機械を庇うバカが大嫌いなんだよ!!!!」

「グフッ!!!」



ペタを庇うように覆っていた私の腹を思いっきり蹴飛ばされ、ミシミシッという響きが肋から伝わる。汗と鼻水が溢れ出し、噛み締めた奥歯が欠けた。



「あ"ぁ"ああああああぁあああ"あ"!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

(ジワン)「ウっせぇえなぁ!!!!!」



怒号は瞬く間に掻き消され、樹海の木に叩きつけられた。



(ジワン?)「チ〜ムメンバ〜!??っつたか!?アレ(機械)が!!??」

(ジワン?)「んなわけねーだろ・・・。機械は道具!!!生きてねぇエエんだよ!!!!!!オラッ!!!」

「う"う"ッ」

「い、生"き"て"る"!!機械生命体(ペタ)は生"き"て"る"!!!!!!!!」


(ジワン?)「ちげぇな。機械は機械。それ以上でもそれ以下でもね"ェ"ェ"・・・」

(ジワン?)「テメェらが人間(それ)っぽく設計しただけだろ"ォ"ォ"がよ!」



うつ伏せの状態から髪の毛をつかまれそのまま持ち上げられる。

木にぶつけられた衝撃で抵抗できなくなった私はそのまま持ち上げられ宙に浮かぶ。


最後の睨みも力尽きようとした時、彼女の眼の色が赤虎目石(あかとらめいし)模様から翡翠色へと変わり、髪の毛から手を離した。


ドサッ


「うぐっ・・・・?」

(ジワン?)「やり過ぎだ。テストラ。トリニーがキレてる。貴重なサンプルを壊したな〜!!!って」

(テストラ)「いや、機械を連れたコイツが!!それにへファイも機械は危険だって言ってただろ!!!?」

(へファイ)「言ったけど・・・。これはやり過ぎ。死ぬだろ。これ」

(テストラ)「操縦士(パイロット)は敵だろ!!!?」

(へファイ)「ジワン。悪いが、ノモを治癒してくれ」

「何、一人でペラペラ話してんだよ・・・!!!」



震えるひざに力を入れ、隙をみて殴りかかる。


が、立ち上がるだけで精一杯の足は次の一歩に力が入らずそのまま前に倒れかかる。

彼女はすぐさま右手を振りかざし殴りかかりにきたが、頭に触れる寸前で止まった。


(テストラ)「チッ」


彼女は倒れる私を抱き抱え、そのまま治癒を始めた。


辺りが淡い黄色の光で覆われる。

ポワポワと変な音が聞こえ、痛みが少しずつ引いていく。



(ジワン)「はい・・・。治りました・・・!!」

(へファイ)「ペタも治せるか?」

(ジワン)「え・・・。機械はちょっと・・・」

(トリニー)「私が直すのだ!!」

「な、治せるの・・・!?」

(トリニー)「まっかせなさい・・・!!のだ!!」

「・・・」

「今は、誰なの?」

(トリニー)「今はっていうか。起きてるのは私とへファイと、ジワン・・・。は寝たみたい」

「どういうこと・・・」

「さっき殴ってきたのは誰なん」

(へファイ)「テストラだ。すまん。制御できなかった・・・」

「今喋ってるのは、誰・・・?」

(へファイ)「へファイだ。()()()()()()()()()()()()()()

「・・・・」

「いいから、ペタ直して」

(へファイ)「ああ」



ペタの残骸を綺麗に拾い、直せる部分はその場で直した。

羽は粉々だった。バックに入れてきたビニール袋に全て入れ、ポケットに大事にしまう。

彼女の目をギリっと睨みつけ、舌打ちをついた。



「そうか、君はそういう性格か」



ペタの残骸を拾う私を後ろで眺めていたテストラはわざとらしくえずき、変顔を披露している。心底、機械生命体を嫌っているようだ。



(コイツとは絶対仲良くなれないな)



「早く帰ろ」

(トリニー)「うん!!早く観察したいのだ〜!!!!」

「・・・」



(コイツ・・・。疲れるな・・・)



疲労で身体が思うように動かない。気持ちだけが焦り、永遠と隣で質問してくるトリニーの甲高い声が耳に触り歯軋りが止まらない。



「ちょっと静かにして」

(トリニー)「ウェ!?あ。ごめん」



片道3時間の道のりが三日に感じる。

ペタの仇は隣にいるのに、今のコイツじゃない。


それとも、他人のフリをしたアイツなのか?

もし、そうなら反撃されたら勝てないよな。やるならアイツじゃない時だ・・・。




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