制服探し
スペースホエールが生息していると聞き、理由を聞き出すノモ。
少女は歴史から遡り始め、ノモは飽き始めていた。
(ジワン?)「それで!それでね!!って、聞いてるのだ??」
「ちょっと専門的すぎて、私には・・・」
(ジワン?)「ま、まあ。わかりやすく言うと[エーテリウム]という物質を含んだ鉱石がこ
の星で豊富にあって、それがスペースホエールが生息している理由ってことなのだ」
「でも、なんでそのエーテリウムにスペースホエールは反応するん?」
「それと、出発してからずっと気になってたんだけど・・・」
「語尾、変えた?」
(ジワン?)「それはまだ、調査中なのだ」
(語尾については無視?まあいいか・・・?」)
出発してから2時間。スペースホエールについてのうんちくがその間1時間半。
そろそろ"青の樹海"とやらに着いてほしいんだけど。
「ねえ、あとどれくらいなの?ジワンが私を脱がせたところ・・・」
(ジワン)「私が変なことしたみたいな言い方しないでよ!」
(ジワン)「もう少しで着く」
(語尾が戻ってる・・・?)
[青の樹海入り口前]
「何ここ・・・?一面焼き尽くされてる・・・」
「ここで助けてくれたって言ってたよね・・・?何があったの?」
(ジワン)「ノモがやったんじゃ?」
「私が・・・?無理無理無理無理!」
(ジワン)「私たちがノモを見つけた時、リフレクトクローに咥えられて引きずられてたの」
(ジワン)「散歩に行ってただけだったから、家に武器を取りに戻ってもう一回ここに来たら・・・」
「来たら・・・?」
(ジワン)「腹を貫かれたリフレクトクローと、白い球体に覆われたあなたがいたのよ」
「白い球体?」
(ジワン)「そう、樹海が消し飛ぶくらいの爆発が見えたと思ったら、その状態になったノモがいたの」
「ええ〜何それ・・・」
(ジワン)「制服にそういう機能が付いてたんじゃ無いの?」
「さあ・・・?三日の研修期間でそんなに使いこなせるようになった訳じゃないし・・・」
(ジワン)「ふ〜ん・・・」
(ジワン)「あっ!!あれじゃない?真ん中のとこ!」
(ジワン)「あっこだけ草が残ってる!!」
「!!!」
ジワンが指を刺した場所に目を向けると、円状に焦げた草原の中心部が確かに、焼け残っていた。そこに、見覚えのある白い布切れが風で靡いていた。
私は丘の上から一目散にその場へ向かって駆け出した。
「はあ、はあ、コレ・・・!」
(ジワン)「ちょっ!急に走ってかないでよ!!」
「・・・」
(右袖は無いし、穴だらけだし、血とか汚れがひどいけど・・・)
「良かったぁ、、、、」
(ジワン)「それ、どうするの?着るの?」
「うん、修繕する・・・」
(ジワン)「服なら貸すのに・・・」
(ジワン?)「そういう事じゃないと思うな」
(ジワン)「・・・」
「チームにもらった唯一残った私物だから・・・」
服を抱きしめ、顔を埋めて肩を振るわせている私を見たジワンは、それ以上何も言わなかった。
(そういえば・・・!)
(付属品がこのポケットに・・・あった!!!)
(ジワン)「ここで直すの!?家に帰ってからでよくない!?」
「すぐ終わるから!ちょっと周り見張ってて」
(ジワン?)「へいへい・・・」
ナノテクが縫製されたこの化学繊維の糸は、宇宙制服の素材と同じもの。リーダーが言ってた。
「リーダーの制服ってすごい綺麗に手入れされてますよね?洗えないって言ってましたけど、どうやってるんですか?」
(リーダー)「破れたところだけ修復してる」
「手縫いですか・・・?」
(リーダー)「不器用だからペタに任せっきりだけどね?まあ、自分でもたまに直すよ」
家庭科で裁縫だけは成績が良かった私には、こんなの朝飯前だ。
ーーー15分後ーーー
チョキ
「よし、直った〜〜!!」
(ジワン)「すご!」
制服を直した途端、中から何か落ちてきた。
「蝶々・・・?」
(ジワン)「なんで・・・?」
「・・・?」
制服から地面にポトリと落ちてからしばらく動かなかった。が、突然ふわふわ飛び始め、私の頭の上に止まると羽を広げたまま動かなくなった。
(コレ・・・!)
「ペタ・・・??」
(ジワン)「え・・・?」
「これ・・・!多分!ペタだ!!動物型機械生命体のペタ!!!」
(ジワン)「どうぶつ、え?なんて?」
「制服に組み込まれてたのが残ってたんだ!!制服が戻るまで分裂が小さすぎて、変身できなかった!!!!」
(ジワン)「え、なに??どういうこと?その蝶がどうしたん?」
「私のチームの一人!!ペタ!!色んな動物に変形できて、チームを支えてくれてた優秀な機械生命体!!」
(ジワン?)「機械生命体ダァ!?」
ジワン?が頭に乗っていたペタを取り上げ、いきなり潰そうとしてきた。
慌てて、取り返して睨みつける。
「何すんの!!?」
(ジワン?)「機械生命体ハナァ!?オレノコトを!!」
「はぁ!?」
(ジワン?)「オレのコトを殺そうとしてきたんだぁあ"あ"あ!!!!!!」
突然、目の色を変え襲ってきたジワンの顔をした別人がノモとペタを襲い始めた。




