泡立つ夢の情景
私は夢を見ていた。
学園で過ごしていた夢。
教室の後ろから2番目の中途半端な位置の座席が私の固定位置だった。
右を見ればいつもうるさい男子のグループ。左を見れば、最近始めたばかりの癖に私、化粧分かってるアピールをしている女子グループ。教卓あたりにはあまり話さない静かな人たちが集まって授業まで何かをしているふりをして時間稼ぎをしている。
私はいつも一人だった。
無理やり作れと言われているようなこの空間での友達なんてくだらないと思っていた。ただ近くに住んでいた人たちを寄せ集めただけのクラス。
いつも一人の私を呼び出しては、友達を作りなさいと言ってくる老いぼれ教師。先生は満員電車の中で友達を作りなさいなんて言われてあなたはできるの?って言ってやったら激怒されたんだっけ。
生徒たちで監視し合わせた方が大人たちに都合が良いだけだろ。
先生の言うことをきちんと聞く奴が偉くて優秀なんだと。
私のような生徒は面倒なんだろう。
私はそれが嬉しかった。
私が面倒な奴だと知れば、相手からbot文(botのような定型文のある質問とその回答のようなやり取りの事)のような質問で話しかけてくることは無くなるから。
「今日は天気いいね」なんて、どう返したら良いんだよ。
てか、そんなに天気ばっか考えてないわ。早く終わらないかな〜って外見てただけだし。
それにここでは、みんなグループに入りたがる。
大人たちは家族や仕事先、それかトモダチ。大人はそれなりの距離感を保つ技術を身につけているかも知れないが、子供はもっと残虐にグループを作る。
顔やスタイルなど見た目が良いだけの表面上、仲の良さを見せつけて実は取り合っている昼ドラっぽいグループ。自分や他者の見た目や愛想で優劣をつけて勝手に被害者面している器も態度も声も小さいグループ。そのどちらにも良い顔をして嫌われないように神経を擦り減らしているその他大勢。
私はどのグループにも所属したくないし、そんなことを気にするのがまどろっこしいと感じるから一人で居たいだけ。どこも子供っぽくてつまらない。
誰が好きー?とかアイツ可愛いくねとか、この人イケメン!!とか、あいつと連んだら俺たちの株が落ちるとか、いつも一人で可哀想だとか・・・。
勝手に人を可哀想な兎扱いするんじゃねーよ。猿が。食って寝てムラついて、イイネしてもらうためだけに遠くまで旅行しているような家畜が私の価値を勝手に決めんじゃねーよ。
私の価値は私が決める。私が価値を見出しているものに価値があるんだ。誰かがイイネしてくれるまで待っているようなお前らなんて・・・。
激しい怒りと理解してくれない悲しみに打ちのめされる夢。
私もそっち側に行ったら何も考えずに楽になれるのかな・・・・・・・。
私はゆっくり目を覚ました。目から頬に涙が伝わっていく。冷たい雫が熱を持った頬を通っていく。
知らない天井は、黄色がかった土壁と青くて不気味な色をした柱が張り出している。レトロな雰囲気とは別に、なんとなく禍々しさを感じるのは色のせいだろうか。
私が寝ているベッドの横に、白と赤のニットを着た赤髪で琥珀色の目の少女がいた。柱と同じ素材であろう、手作りの藍色の木の椅子に座り、眠りこけている。
(???)「おい、起きてんぞアイツ」
(???)「君が最初に話したいって言ったんだろ!起きろよ!」
(???)「んん〜。クファワ〜〜〜〜。フワァ〜〜。アァ〜〜。おはよう。二度寝にしては、よく寝てたね」
「あの、助けて、くれた人・・・?」
「その睨んだ顔も2回目・・・。ふふっ。元気そうでよかった!」
「あ、いやその、上手く見えなくて、」
少女の口ぶりからして、どうやら私は一度起きたらしい。
でも全く思い出せない。左の頬がヒリヒリしているのも1度目に起きた時と何か関係があるのだろうか・・・?




