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宇宙冒険家ノモ  作者: 坂山海
早熟で未熟者
11/101

メンバー紹介

ーーシャワー室ーー



ショワーーーーーーーーー



(アリアさんの制服の上にゲボっちまった・・・)



アリアさんは顔が引き攣りながら、私を慰めつつ、ランドリーへ向かって行った。

私は、「風呂へ入れ」とリナさんに下衆を見るような目で睨まれながら威圧的な声で脅された。



「初っ端でやらかした〜!!!」



私はぬるいシャワーを頭からただただ浴びて、青ざめていた。

既に洗い終わっていたが、どんな顔してメンバーに会えば良いのか。ということで頭が一杯だった。



「はぁああ〜〜〜、、」

「出よ」




シャワー室を出ると、着替えを置いていたところに制服と置き手紙が置かれてあった。(紙なんて初めて見た・・・)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


新人はみんな最初よくそうなるから気にしなくて大丈夫!(私の制服に吐かれたのは初だけど・・・)着替えたら、メンバー紹介するからロビーに来て!

                                                                                         [アリア]


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



(め、めっちゃ!優しい!)


絶対顔見たら気まずくなるから、今すぐ船を降りたい気分だったけど、ちょっと救われた。


さすが、リーダー。気配り上手だ。



制服は白色の上下で、少し伸縮する素材でできた特殊防護布でできていた。


上はロングジャケットでフードがついている。下は、大きめのポケットがいくつか付いた少し細めのパンツだ。袖を通すと、両腕と首周り、パンツの横面に黄緑色のラインが少し光りながら描かれた。(そういえば、アリアさんのは赤いラインだった気がする)



シャワー室を出ると、扉のすぐ横の壁にもたれかかっていたアリアさんが声をかけてきた。


「気分はもう大丈夫?」

「あ、はい・・・。その、すみません・・・」

「いや〜!びっくりした〜!まあ、洗えば落ちたし、私は全然平気!平気!」

「すみません・・・」



アリアさんはこう言っているけど、私はまだ、ちょっと気まずい。少し下を俯いてアリアさんの話を聞いていた。奥の廊下の扉が開き、スタイルの良いシルエットが近づいてきた。



「・・・」

「制服。似合ってる」

「お・・!?」

「お嬢が褒めてくれたよ!?ノモ!!」

「オジョウってなんですか・・・。早くロビーに来て。みんな待ってる」

「は、はい」

「も〜!そんなん言われなくても私が連れてくって!!」

「リーダーがなかなか来ないから呼びに来たんですよ」

「だって!ノモ!行くよ〜!」

「あなたに言ったんですけど」



私は、仲良く?口論している二人の後をトボトボとついて行った。




「みんな〜!お!まったせ〜!!主役が来たよ〜!!」









・・




・・・





シーン・・・・・





俯いていた顔を上げると、そこには誰もいなかった。

みんな持ち場に戻ったのだろうと思い、少し気まずい空気が流れる。


「あり??みんな〜?」

「い、いません、ね?」

「どこ行ったんでしょう?呼び戻してきます」

「いや・・・待って・・・」

「?」


アリアさんは何故か、ロビーを注意深く犬のように匂いを嗅ぎながら散策し始めた。



「ここだ〜!!!!!!!!」

「ゴフ!!!」



叫びながら誰もいない空間に向かって思いっきり腰を入れてグーで殴った。



その直後、誰もいなかったはずのところから徐々に擬態が解け、人の輪郭が浮き出てきた。ガタイの良い男が苦しそうな声を漏らしながら倒れ込んだ。

その人を放置したまま、また犬のように嗅ぎ回り始めた。




「せいや〜〜〜!!!!!」

「オゴッ!!!」



今度は、別の場所を思いっきり蹴飛ばした。

すると、また別の人の輪郭が現れ、お尻を押さえながら倒れた。今度は細身の男性だ。



アリアさんはまだ誰か探している様子だ。



アリアさんが体勢を低くし、逆立ちの状態で後ろに蹴りを入れた。(卍蹴り)

が、外したのか、何も起こらない。



「ぐっ、しまった!」



その直後、アリアさんは逆さまのまま、空中に浮かんだ。誰かに両足を掴まれているように見えるが、誰もいない。


私の目には、アリアさんだけが、空中で逆さまになっている様子しか捉えることができない。敵襲かと身構えたが、アリアさんが突如笑い始めた。



「はははっ!!!くっそ〜!!!降参!!!モーラもやるようになったな〜!!!」


そう言うと、擬態が解かれ、長身の輪郭が現れた。アリアさんの両足を両手で軽々と持ちながら、返事をしている。



「いやいや、今日はたまたま上手くいきました。ゲロを喰らったリーダーはいつもよりも隙が多かったので」

「くそ〜!!!ノモ!!!」 ッキリ

「え!あ、すみません・・・」

「いや、ただリーダーが油断してたんでしょ」




殴られた他の二人もアリアさんの元へ寄って行った。



「全員揃いました。リーダー」

「よし!模擬戦は終わりだモーラ。降ろしてくれ」

「あの子が新しく入った新人さんですか」

「聞いてる?」

「えらく、チビっこいのが入ってきたな!!リーダー?」

「お、おーい・・・」

「自己紹介をする前にお茶とお菓子を準備しましょうか?テーブル出しますね」

「・・・」

「良いかげん降ろせや〜ゴラァ〜〜!!!!!」

「いや〜〜。初めてリーダーに勝ったもんですんで、なんか勿体無くて」

「こういう時だけ声を揃えて言うな!!!」



(な、仲良いな〜〜)



何事かと、思ったが、模擬戦?だったらしい。


それに、宇宙服に擬態できる機能がついているのか・・・。

(早く試したい!!!)



口を開け、ソワソワしている私を見て、隣にいたリナさんはクスっと笑っていた。



「もう大丈夫そうね」ボソ

「え?」



ジタバタ暴れながら叫ぶアリアさんの声がロビーに反響する。



(なんか、いいな、ああいうの)



「ペタ!机と椅子を人数分出してくれ!」

「それと、お茶とお茶受けも」



ロビーの天井に向かってガタイの良い男の人がペタに指示を出している。


中央にいたアリアさんたちが端へ捌けた直後、床から丸くて大きなテーブルと椅子が現れた。テーブルの中心からさらにお菓子が押し出されるように用意されていく。


また、ロビー端にあるキッチンからお湯とティーパックが準備され、テーブルへ置かれた。


「よし!みんな!席ついて〜」



解放されたアリアさんが何事もなかったかのように、席についた。

後に続いて、他の方々もゾロゾロと席へついていく。



「よし!それじゃノモ!!自己紹介よろしく!」

「は、はい!!」


私は、入ってきたその場の部屋の隅から大きな声で自己紹介をした。



「は、初めまして!!本日よりチーム『ハインライン』に体験入隊致します!!ノモと申します!!よろしくお願いします!!」




パチ パチ、、、パチ




まばらな拍手が船内に響く。





(あれ、何かミスった??もしかして歓迎されてな・・・い?)



「は〜い!よろしくね〜ノモ!!ノモもこっち来な〜?その方がメンバー紹介しやすいし!」

「そんな遠くで挨拶しても意味ないでしょ」

「コラ!リナ!」

「あ、は、はい・・」



どうやら、私が、勢い余ってその場で挨拶しちゃったのが可笑しかっただけだったようだ。男性陣はニヤニヤしながら「こっちこっち〜!」と手招きしてくれた。私は照れながらアリアさんの左隣の空いている席へ座った。



「じゃ。私から順に時計回りで自己紹介していこ!このチームで担当している役割と名前ね」

「よし、まずは私から。コホン」

「私はリーダーのアリア・A(アーサー)・ハインライン。リーダーって呼んでね?よろしく!」



パチパチと拍手が鳴り、次に移る。



「昨日、会った。モーラだ。モーラ・ギブスン・H(ハインライン)!チームでは、新人教育と、研究者だ。ここでの仕事は主に私が教える」

「お、お願いします・・・」



脅すなよ〜?とリーダーとガタイの良い男性から野次が飛んでいる。



「私はリナ。リナ・クラーク・H(ハインライン)この船では調査と分析をやってる。よろしく」



改めて見るとやっぱり綺麗な人だ。スタイルもいいし、声が透き通ってる感じ。



「よっしゃ!俺ゃダニエル!ダニエル・フィリップ・H(ハインライン)!チームじゃ、物流や取引の交渉などをやっている!力仕事は任せろ!」



と言いながら、リナさんの方に向けて自慢の筋肉を見せつける。

(ああ〜。なるほど。そういうことね)



「僕はキイス。アンディ・キイス・H(ハインライン)。このチームでは、法律、金融、システムなどの事務を担当してる。宇宙探索家って小さい会社のようなものだから」

「そ!彼だけ国家公務員。宇宙探索家チーム発足には必ず国家公務員の事務を入れないといけない規則だからね!」



見慣れない銀髪は地毛だそう。珍しい。見たことない。



「まあ、僕がしている内容はノモがする仕事はほぼ無いよ。財務関係のソフトに打ち込めるのは国家公務員だけだから」

「そ、そうなんですね」

「いや〜私もちょくちょく触らないといけないんだけど、もうわっけわかんないの!」

「いやいや、簡単ですよ?」

「私には、難しいんだって・・・」



これで、一通り自己紹介は終わった。




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