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異世界召喚を憂う者  作者: 金のゆでたまご
仕置きの章
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依頼代行

ヤルキーが受けた依頼を代わりに達成するために飛び出したラドル。彼のランクに見合わない危険な依頼だと思ったヤルキーは、シズラに待機組を救援に向かわせるように指示した。


待機組とは、こういった事態に備えてギルドの待機室で人員を待機させ、緊急事態や事情により依頼を受けられなくなってしまった冒険者の代わりに依頼を代行する制度である。低額ではあるが待機しているだけ報酬も出る。だが早朝のため、まだ誰も来てはいなかった。


シズラはギルドの登録名簿で今日の待機組の住所を調べると、直接交渉するためにギルドを跳び出した。


彼女がひとり目の待機組に交渉をおこなっているころ、ラドルは馬車に乗って今回の依頼の村に向かっていた。


依頼主は農村ファムラン。環状路線馬車で先日行ったサンフィード村のひとつ前である。村の土地の大部分が田畑であり、この国の農作物の三割を生産している食料生産の要だ。


依頼の内容は農作物を食い荒らす野生獣の討伐。対象はライノスロック。魔獣ではないが強固な壁に穴を空けて突入するほどの巨体と強さを持っているため、一般人では歯が立たない。


到着したラドルはすぐに村長のもとに向かい、依頼内容と討伐対象の住みかを確認する。


「あんた若いがひとりで大丈夫なのか?」


ラドルの容姿は二十歳に達するかというくらいの青年なので、村民たちは頼りないと思っていた。


「問題ない。オレはあんたが生まれる前から獣と戦って生きてきた。ライノスロックが相手ならおくれを取ることはない」


「はぁ……そうですか」


聞いていた者たちは、老齢な村長が生まれる前から獣と戦って生きてきたと言うことが冗談だろうと思う。しかし、真顔で返答したラドルの妙な雰囲気に呑まれ、各々思うことはあってもなにも言えない。そんな村人に見送られてラドルはライノスロックが住まう洞窟に向かった。


村の西南西にある森に入って進んでいくと、ゴツゴツとした岩壁にぶつかる。その岩壁沿いに坂を下っていった先に大きな洞窟があることを確認する。


「ここか」


ラドルは様子をみるというそぶりも見せずにズンズンと中へと進んでいった。洞窟の入り口からすぐのところに元住人と思しきヴィオレントベアーが無残な姿で転がっている。


「不運だったな」


ラドルがそのヴィオレントベアーひと言声をかけたところで、洞窟の中からライノスロックが現れた。それも二頭だ。


「村の依頼書には一頭って書いてあったが……。三頭だったのか」


ラドルの背後から挟み撃ちするようにもう一頭が穴をのぞき込んでいた。


「好都合だ。帰ったあとにまだ二頭もいるってなったら面倒だったぜ。さっさと済ませよう」


正面に立つ二頭のうちの一頭が向かってくる。それに対してラドルは腕を振りかぶり、突進してきたライノスロックの角のある鼻づら目掛けて握り込んだ拳を突き出した。


ズドーーーン


洞窟の中に低く反響する衝突音。その体重差を考えればラドルがどんなに強くとも軽量の彼が吹き飛ぶことは想像に難くない。しかし、実際そうならず、ライノスロックはフラフラと足をもつれさせて倒れてしまう。


格闘戦でよく使う技術だが、ラドルは地脈の力を利用する地系の魔術によって地面に根を張り、本来ライノスロックの武器になる肉厚で骨太の鼻づらを殴って倒したのだ。


自身の体重と突進力も反作用として返ってきたライノスロックは、ラドルの一撃に耐えることはできなかった。


どんなに強いといっても野生獣。ただデカく、重く、力が強いというだけでは超えられない壁を何枚も超えた先にラドルはいる。


残る二頭はそれを見てなにかに気が付いたのか、彼の力の片鱗に触れて悟ったのか、頭を振りながら後ろに下がる。


「群の輪から抜け出したはぐれ者。人の領域で農作物を得ることを覚えたおまえらはもう野生に戻れない。さぁ、仕置きの時間だ」


その戦いは秒で完了した。

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