八話 ガチャに再挑戦です
八話 ガチャに再挑戦です
茹で上がったうどんを小人は出汁で、人間は醤油で食べる。しかし熱々のうどんはすぐには食べられず、小人たちに不評であった。
要と能が熱々のうどんを黙々と食べる横で、エスパーダとスミス姉妹は冷えるのを待つのであった。
「なぜ当たらないのかしら。イカサマ仕組まれてんじゃないかな」
「誰に?」
「姉御にイカサマ仕掛けて何の得があんの?」
「私の課金を増やそうとしているとか」
「そこ疑ったらゲーム出来ないよ、姉御」
「課金は要さん次第なんでしょ」
「お兄ちゃん、貢ぎ癖があるの?」
うどんを食べ終わった能は兄に質問した。その目には何か秘められているものが感じられた。
「立て替えているだけだ」
要はエスパーダとの課金の歴史をとうとうと語った。
「課金はお兄ちゃんの愛の証なのね」
しみじみと妹に言われて、要は顔が熱くなる。
「要、愛の証」
エスパーダは茶化して言ってきた。茶化さないで欲しかった。照れているのは分かるが、要の真剣さを蔑ろにして欲しくはなかった。
結局課金に協力して、エスパーダはガチャを回す。
「出ない」
涙目になっていた。課金してもガチャの結果は良くはならないのだ。
「姉御、次があるさ」
「そうそう」
スミス姉妹はエスパーダの物より小さなスマホをエスパーダに見せつける。画像に赤が見えるので、ホーリエ・ヴィスコンティーのキャラ画面を表示しているのかもしれない。
「もう十五回も十連ガチャ回してんのに出ない」
そんなにやっていたのか。
「お義姉様、十五回回すとホーリエ・ヴィスコンティーを手に入れられるよ」
「え?」
確かに十連ガチャを回すと十ポイント手に入り、百五十ポイントで交換できるシステムがある。
エスパーダはポイントを使って、ホーリエ・ヴィスコンティーを手に入れた。
「やったね!」
あとこの場で持ってないのは能だけになった。
「お兄ちゃん、私にも愛の証を……」
手を出した能。
要はそれを叩いて払う。
「ダメ。さっき金渡したから俺に余裕はない」
「お願い。エスパーダの逆バニー作るから」
要は考えてしまう。そして少し多めに渡した。
能は課金してすぐにホーリエ・ヴィスコンティーを手に入れた。
課金から入手までの全てはエスパーダ達がうどんを食べ終わる前に終わっていた。




