七話 義妹をギルドに入れました
七話 義妹をギルドに入れました
「今日は姉御の家に泊まるよ」
「晩御飯があると嬉しいな」
採寸を終えたスミス姉妹は二人に向けて催促する。
「じゃあ私も」
酒を飲んでいるので無下にするわけにもいかず、認めてしまう。そうしたらスミス姉妹を断ることも出来ずに三人まとめて面倒見ることになった。
要はエスパーダに客のもてなしを頼み、台所に行った。料理を作りに行ったのだ。
急なお客なので何も用意がない。とりあえず腹を膨らしておけば良いだろうと考えてうどんを茹でることにした。味付けはタレを人間と小人別々にすれば調理も一回で終わるし、一緒に食べられる。
まずはお湯を沸かすところからだ。
「能ちゃんは異界大戦やってる?」
エスパーダの声が聞こえる。酔いも手伝って偉そうである。
「あ、やつてますよ。今回はホーリエ・ヴィスコンティーが当たりですよね」
「そうなのよ。それなのに当たらないの。要は持っているのよ」
「お兄ちゃんもやってるの?」
「そうよ。要もライトハンドもレフトハンドも同じギルドメンバーなんだから」
「私も入ろうかな。なんで名前のギルド?」
「エスパーダと愉快な下僕達」
「うん。ちょっと考えさせてくれるかな」
能は加入をためらった。要は思わず笑ってしまう。
「入ろうよ。能さん」
「名前はダサいけど、規律はユルいし」
「ダサいとかゆーな!」
エスパーダが抗議すると笑いが起こった。要は話に加わろうとしたが、そろそうどんを入れるタイミングだ。しぶしぶ台所で鍋に乾麺のうどんを投入する。
「お義姉様の言うことは聞かないとだよね」
「能ちゃん……」
うどんが吹きこぼれないように見ていると要のスマホから通知音がする。ギルドに能が加入した。これでメンバーも二桁になった。
「能ちゃんのプレイヤーネームって……」
「コーセーノー。私の名前を音読みにした名前だよ」
「ようこそ。コーセーノー」
「エスパーダと愉快な下僕達へ」
「さあ、ガチャを回そう。ホーリエ・ヴィスコンティーを我が手に」
要のスマホに通知が来た。
「よっしゃー」
「やりい」
ライトハンドとレフトハンドがホーリエ・ヴィスコンティーをゲットした通知だった。