六話 スミス姉妹と義妹が打ち解けました
六話 スミス姉妹と義妹が打ち解けました
要がポケットにスミス姉妹を入れて帰ってくると、エスパーダと能は酒を酌み交わしていた。
「あ、おかえり」
エスパーダが陽気になっていた。
「人を呼んでおいて飲んでるなんて」
「良いご身分だね」
二人は要の左右のポケットから避難してくる。
「え? 小さくない?」
能のテンションがスミス姉妹を見て上がる。エスパーダが横で不機嫌になっているのを無視して。
要が二人をテーブルの上に下ろすと能はさらに興奮する。
「ちっちゃい! かわいい!」
能はまたスマホを出して撮影する。
ライトハンドとレフトハンドはポーズを取っている。要が止めなくて良いのか迷っているとエスパーダが言った。
「二人は大丈夫。私みたいに定住してないから」
「住むとこ決まってないの?」
「ピクシー族の家は別の生き物に侵入されることが多くてね。ちょくちょく住む場所を変えるらしいの」
「この前はハクビシンがやってきて大変だったよ」
「僕等は武器を作る側だから戦えないんだよね」
ポーズを決めながら、二人は会話に参加する。
「大変そうだね。あ、私、高星能」
「ライトハンド・スミスだよ」
「レフトハンド・スミスさ」
「よろしく。二人に居候してもらいたいけど、うちにはニャンコがいるから。ゴメンね」
「そっかぁ」
「猫は危ないからね」
あわよくば住もうと思っていたようで二人はテンションが落ちていた。
「その代わり気合い入れて作ってあげる。どんなのが良い?」
「僕等のユニフォームはこれさ」
「これと同じ物を作って欲しいんだ」
「新しいデザインとかコスプレとかしなくて良いの? 逆バニーとか」
「逆バニー?」
「何それ?」
説明できない要。
エスパーダは二人に近付き、スマホを見せた。
「何これ⁉︎」
「こんなん無理だよ」
「要は着せたいみたい」
「マジ?」
「変態?」
再び要は白い目で見られた。
「僕等は遠慮しておくよ」
「姉御がやるべきだよ」
矛先がエスパーダに向いて、ピンチに陥っていた。自業自得と言えなくもないが、要は助けてあげた。
「まあまあ、まずはライトハンドとレフトハンドを採寸するべきじゃないか」
「話をそらしても、要さんが変な格好が好きだというのは揺るがないよ」
「その変な格好を姉御が着てくれるとは限らないけどね」
「お兄ちゃんたら」
三人は同じ笑いかたをした。なんだかトリオみたいだった。