三話 義妹に採寸されました
三話 義妹に採寸されました
エスパーダがスーツで登場すると能の鼻息が荒くなった。
「すごい! カッコ良い」
勝手にスマホで撮影を始めてしまう。
エスパーダは要に目で助けを求めてきた。
「撮影禁止だ」
要はエスパーダと能の間に割って入った。
「えーっ」
「エスパーダの存在は秘密なんだ。この前も動画配信者が押しかけて大変だったんだから」
「でもこんなにカッコ良いんだよ。かわいいだけじゃないんだよ」
「それでもダメだ」
能は意気消沈。かわいそうだがエスパーダを守るためである。
要がスマホを取り上げて画像を消そうとしていると、エスパーダが待ったをかけた。
「消すのはかわいそうだよ」
「エスパーダを守るために心を鬼にしてるんだ」
「能ちゃんは義妹だよ。お義姉さんとしては出来るだけ要望を叶えてあげたい」
エスパーダが助けを求めたのに、要がワガママを言っている風に扱われてモヤモヤする。
とりあえず撮った画像は消した。
「お兄ちゃんのケチ」
能はスマホを受け取り、あっかんべーをした。が、再度エスパーダを撮ることはなかった。そこは要の妹というところか。聞き分けが良い。
「そうだ。ねえ能ちゃん」
「はい?」
「知り合いが能ちゃんに服を作って欲しいって言ってるけど。作れるかな?」
そういえばスミス姉妹は服を作って欲しいと言っていた。そのことをちゃんと覚えていたのだ。
「私に出来ないことはないです。採寸させてくれれば」
能はじっとエスパーダを見る。
「いや、私じゃなくて、もっと小さいやつなんだけど……」
「出来ますよ。採寸させてくれれば」
能はメジャーを取り出した。
「あの、私じゃなくて……」
「採寸させてくれればやりますよ」
能の中ではエスパーダの採寸は必須のようだ。また目で要に助けを求めてきた。しかし今度は助けなかった。
エスパーダは能にがっつりと採寸された。