十話 彼が枕にキスをしました
十話 彼が枕にキスをしました
エスパーダはスミス姉妹と押し入れの奥に消えた。
能には寝袋を使ってもらった。布団一組より安いため客用に買った物で、未使用品である。
「私だけキャンプみたい」
能は文句を言いつつ、寝袋に入る。
「能、来年母さんに会おうと思う」
「エスパーダ紹介するの?」
「ああ」
「そっか。応援してるよ」
「ありがとう」
「それとお年玉、期待してるよ」
「さっきやったろ」
「あれは代金でしょ。逆バニーの」
エスパーダを警戒してか、逆バニーのところだけ音量が下がる。気遣いの出来る妹だ。だが厚かましい。
「金が出ていく」
要はしぶしぶお年玉に確約を与えた。能は顔だけで嬉しさを表現した。
「ライトハンドとレフトハンドからはお金取れそうか?」
「あ、うん。小人が現金じゃなくて、ネットバンクとか電子決済とか使ってるって聞いたから、お風呂で」
「そうか」
「ちゃんとエスパーダのコートも自腹にさせといたから」
出来る妹に要は見方を変えた。
「悪いな」
「これからお得意様になるから、そこんところはしっかりしとかないと」
「お兄ちゃんもエスパーダに着せたい衣装があったらお金振り込んでね」
エスパーダと要二人から確実に取ろうとしている。要の予想以上に出来る子だ。
「ああ」
部屋を小さなあかりだけにして眠った。
エスパーダがウエディングドレス姿で教会にいた。隣にいる要はエスパーダと同じサイズで白タキシードを着ている。
参列客もみな同じサイズで人間と小人族が仲良く座っている。
神父が言った。
「では誓いのキスを」
要はヴェールを捲り、エスパーダの唇にキスをする。唇に布の感触がした。




