一話 義妹がやって来ました
一話 義妹がやって来ました
あれからエスパーダは一切料理をしなかった。もらった包丁などは本当に一度しか使わなくなりそうだ。
今エスパーダはゲームのクリスマスガチャに夢中で、課金の額も上がっていた。それは要の負担が増えるわけで……。
「なんとしてもサンタコスをコンプしないと」
「異世界にサンタっておかしくない?」
「それはそれ、現代社会の人間が作ってるわけだし」
「しかも女性キャラばっかで、ミニスカだよ」
「確かにビジュアル重視であることは否めないわ。でも性能が良いやつがあるのよ。ホーリエ・ヴィスコンティーは二丁拳銃だから二回攻撃出来んのよ」
「二丁拳銃とサンタって関係ないよね」
要は自分のアプリ内にあるホーリエ・ヴィスコンティーを見た。サンタコスの上にガンベルトを巻いている。そして右手に銃を構えて、左手でプレゼントの詰まった袋を担いで持っていた。二丁拳銃ではないとツッコミを入れたくなる絵だ。
「なんで要には出て、私には出ないのかな」
エスパーダはガチャ格差に苦しんでいた。要としては見守り、課金代を立て替えてあげることしか出来ない。
「よし、いくよ」
エスパーダがガチャを引こうとしたその時、玄関のドアが開いた。
「お兄ちゃん、来てやったわよ」
要の妹、高星能だった。