表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

91/103

91、詐欺師のパワー



「ご飯が美味しい!」


 祠に戻って食事中。


「‥‥‥そう」


 テーブルを挟んで、俺の対面に座るアリスさん。

 

「あのデブは帰って来ないの?」


 アリスさんの横に座るイレイザ。

 トシゾウは、もうそんなに太ってないのだが‥‥‥。


「‥‥‥トシゾウさんは家に帰った」


「へえ〜」


 自分で聞いてきたくせに、興味有るのか無いのか、よく分からない返事をするイレイザ。


「アリスさん、その‥‥‥トシゾウさんになんて言ったか、聞いてもいいですか?」


「‥‥‥あんたに前に言われたでしょ? 私は自分の気持ちを正直に、ちゃんと話しただけだからね」


 俺の顔をポケーっとした顔で見ていたアリスさん。

 食事中はノーマスクです。


「‥‥‥で、どういった内容の話を?」


「それは言えないね」


「そうですか」


 何故トシゾウが俺に決闘を申し込んできたかは、謎のままになりそうだな‥‥‥。


「ごめん、今日はちょっと疲れたから、私は先に休ませてもらってもいいかな?」


 アリスさんはそう言うと、席を立った。


「どうぞ。色々聞いてすいません」


「イレイザ、食事の片付け頼んでもいい?」


「了解よ〜」


 イレイザが手を振って返事をすると、アリスさんは奥の部屋に戻っていった。




「‥‥‥告白は、する方もされる方も疲れるんだな」


「ダーリンってお子ちゃまよね〜」


 ニヤニヤしてるイレイザ。


「失敬だな」


「何も分かってないから、アリスさんも大変よねぇ」


「じゃあイレイザはトシゾウさんの告白が、成功か失敗かわかるの?」


「ダーリン、あいつの告白が成功するわけないでしょ。それすらも分かんないなら、ダーリンはお子ちゃま以下確定ね」


「‥‥‥うるさいな。でも、わかんないぞ、トシゾウさん物凄く頑張ってたんだから」


「いや、わかるでしょ」


「‥‥‥そうなの?」


「実は私、アリスさんに内容を軽く聞いてるのよね」


 ニヤニヤピンピンのイレイザ。


「え? 俺には内緒なのに?!」


「アリスさんのオーラが弱ってたから、つけこんじゃった」


 なんという詐欺師。


「で、アリスさんはトシゾウさんになんて言ったの?」


「『ごめんなさい』って言ったんだって」


「‥‥‥ほう」


 そうか、トシゾウはフラれてたのか‥‥‥。

 しかしだ、それだけで俺に決闘を申し込んでくるだろうか?


「あとね、好きな人がいるって言ったらしいよ」


「‥‥‥ほう」


「ダーリン、誰か聞きたい?」


「‥‥‥いや、やめとく」


「聞きたいくせに」


 イレイザの尻尾はフリフリピンピンだ。


「‥‥‥じゃあ、少しだけヒントを」


「ヒントなんている?! 誰がどう見ても、ダーリンのことでしょ」


 ──なるほど、それで俺と決闘するのか!


「今日のダーリンは面白い! オーラがコロコロと変わる!」


 いつのまにか隣に座り、俺の胸の辺りをスリスリ触っているイレイザ。


「‥‥‥イレイザ、あんまりオーラ見ないでくれる?」


「勝手に見えるんだもん」


 なんか話しづらいな‥‥‥オーラの話なんて聞かなきゃ良かった。


「因みに今は、いつもの自信に満ち溢れたオーラに戻ってる」


 ニヤニヤとイレイザ。


「‥‥‥もう、言わなくて結構です」


「どのタイミングで戻ったか、教えてあげようか?」


「言わなくていい! 聞きたくない!」


「ダーリン可愛い」


 ニヤニヤとしながら触ってくるイレイザの手を払いのけ、俺は席を立った。


「明日は朝早くに、ここから帰るんだ、イレイザも早く寝なさい!」

 

「あ、ダーリンが逃げた!」


 うるさいな。



 ──多少の自覚はあるんだよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ