表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/103

5、いのちだいじに



「あれは武器屋?」


 剣の絵が描かれたお店。

 転移して2日目。

 優しい宿屋のお姉さんに街を案内してもらっていた。

 

「そうね、でもあんまり必要ないかな」


「行きたい!」


「どうぞ」


 剣がズラリと並び、壁にはナイフや弓が飾られている。

 金槌の大きいのも置かれていた。


「‥‥‥埃っぽい」


 客があまり来ないのだろう。

 この店大丈夫か?


「仕方ないよ、武器を買う人は少ないからね」

 

「アリス冷やかしか?」


 奥から店主っぽい、小さな眼鏡を鼻にかけたおじいちゃん。


「ちょっと見学」


 アリスと呼ばれた優しいお姉さん。


「鋼の剣ってありますか?」


 RPGの武器の代名詞。

 購入したらなんか、いっぱしになれた気がする装備の代表。


「なんだ買うのか? これだが」


 眼鏡のおじいちゃんが指差した先には、ズラリと並ぶ鋼の剣。

 この辺全部そうなのね。


「‥‥‥1,000ゴールドか、足りないや」


 所持金は678ゴールド。

 しかし、10万円とはお高い。


「この辺はもっと安いぞ」


 眼鏡のおじいちゃんが指差したのは、鉄とか銅で出来た剣。

 鉄の剣500ゴールド。

 銅の剣100ゴールド。


「この店で1番良い武器は?」


「‥‥‥これだが」


 ショーケースに入れられている刀身の赤い剣。

 『煉獄の剣』と書かれている。

 お値段20,000ゴールド。

 日本円にして200万円になります。

 馬鹿じゃないの?


「いらないです、また来ます」


 俺はゲームでもそうだが、ちょっと良い装備を買うまでは無駄遣いしないタイプ。

 石を投げてりゃ勝てるんだから、無理して買う必要もない。


「何処か行きたいお店ある?」


「教会ってありますか?」


「あるけど、お祈り?」


「記録をセーブしたり、毒を治して貰ったり、生き返らせて貰ったり」


「‥‥‥ちょっと何言ってるかわかんない」


 アリスさんは可哀想なものを見る目で此方を見てくる。


「教会は何をするところですか?」


「‥‥‥お祈りでしょ」


「じゃあ死んだら誰が生き返らせてくれるんですか?!」


「あのね人間は、死んだら生き返らないのよ」


「え? 死んだら終わりなの?」


「そうよ、だから死なないように注意しようね」


 子供を諭すように優しい目をするアリス。

 可哀想な人と認定されてしまったようだ。

 

 この世界に蘇生技術はない。

 死んだら終わり。


 ──死なないように気をつけよう!


 俺は当たり前の事を心に誓った。



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ