表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/103

3、アイアムジャパニーズ



「お泊まりですか? 一晩20ゴールドです」


 宿屋に入ると受付にお姉さんが立っていた。

 凄く美人だけど性格がキツそう。


「泊まりたいんですが、20ゴールドとはこの硬貨で何枚になりますか?」


 リュックからブヨブヨが落とすお金と思われる物を1枚取り出した。


「‥‥‥20ゴールドって言ってんだから20枚」


 通貨の単位がわかった1枚1ゴールド。


「ご飯は食べれますか?」


「夕食セットだと25ゴールドです」


「それで!」


 リュックから25枚取り出して、バラバラと受付に置いた。


「‥‥‥あんた、色々大丈夫かい?」


「あの、どの辺が大丈夫じゃないですか?」


「‥‥‥全部」


 失敬なお姉さんである。





 お姉さんが部屋に案内してくれた。

 ベッドと小さなテーブルが1つあるだけの簡素な部屋。


「小さい部屋」


「‥‥‥店の人の前でよくそんな失礼な事言えるね」


 まだいたお姉さん。


「なんという素敵な部屋」


「‥‥‥もう遅いでしょ」


 お姉さんは溜息を吐いて出て行った。


「さて、これからどうしよう」


 ベッドに転がりゴロゴロしていると、ドアをノックする音。

 

「失礼しますね」


 ドアを開けてさっきのお姉さん。


「あんた財布ないんでしょ、使い古しだけどこれあげるわ」


 失敬なお姉さんである。

 大学入学時に親に貰った、ちょっとした財布は持っていた。

 こっちの貨幣が大きすぎて入らないのだ。


「はい、どーぞ」


 手渡された財布はただの小さな布の袋。


「何これ?」


「財布って言ってるでしょ。あんた本当に大丈夫?」


 リュックをパンパンにしている硬貨が入るわけもない。


「‥‥‥物理的に無理でしょ」


「よくわかんない事言ってないで、入れてみな」


 試しにリュックから取り出した硬貨を1枚入れてみた。


「消えた!」


「手を入れたら取れるよ」


「おお、取れた!」


 不思議な財布。

 入れると消えて欲しい枚数だけ取り出せる。

 なんと便利!


「‥‥‥あんた、どっから来たの?」


「太陽系の第三惑星、宇宙船地球号の日本国、アイアムジャパニーズ」


「‥‥‥真面目に答えなよ」


 真面目に答えた結果である。


「僕は記憶がないんです」


「やっぱりね」


 嘘をつく方が上手くいく事もある。


「安心しな。暫く面倒見てやるよ」


 キツめに見えたけど、それはそれは優しいお姉さんでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ