18、消えた勇者
「ニア様ここが牢獄です」
ニコニコしながらバニラ姫。
「‥‥‥姫、ニア殿を牢獄に案内する必要はないかと」
これはヒゲのおじさん。
「‥‥‥そうですわね」
王様が何か考えてる間、城の中を見せて貰うことにした。
バニラ姫が案内役を買って出た流れ。
城の中には少し興味があります。
「秘密の宝物庫とかあります?」
「ニア様こちらですわ!」
「姫‥‥‥秘密の意味がなくなりますぞ」
宝物庫あるんだ。
「‥‥‥そうですわね」
バニラ姫はどこか抜けている人だ。
見てて飽きない。
「ニア殿、あまり姫をからかわんで下され」
「ヒゲのおじさん、俺はあとどれくらい城に居ればいいんですか? 早く帰りたいんですけど」
「ヒゲのおじさん‥‥‥其方、わしのことをそんな風に見ておったのか」
名乗らなかった方が悪い。
溜息を吐きヒゲのおじさんは、親衛隊長バルカンと自己紹介してくれた。
「王様は俺なんかに執着してないで、本物の勇者とさっさと話をするべきなのでは?」
「それがな‥‥‥見つからんのだ勇者が」
「と言うと?」
「召喚された勇者はまず城に、それが女神の決めたルール。だが待てど暮らせど勇者が来んのだ‥‥‥」
‥‥‥何そのルール。
「国中探したが、それらしい人物はニア殿しかおらんかった。其方本当に勇者ではないのか?」
「違います」
溜息のバルカン。
「ニア様は魔王など気にせず、城でゆっくり暮らして下さいね」
ニコニコしてるバニラ姫。
「俺は帰りますよ」
「えええ!」
悲しそうにするバニラ姫。
「本物の勇者が来たら俺に用はないでしょ」
「いっそニア殿が魔王を倒してしまわれては?」
「そんなめちゃくちゃな話がありますか」
石で魔王が倒せるとは思えません。
むしろ石で魔王が死んだら嫌でしょ。
「魔王って強いんでしょ?」
「わからん」
役に立たないヒゲのおじさん。
「王がお呼びです!」
城の宝物庫に案内してもらおうと、怒るバルカンさんを無視して必死でバニラ姫を説得してる時に邪魔が入った。
‥‥‥残念。
「ニア殿、行きましょう!」
「‥‥‥はい」