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1、石ころとの出会い



 見渡す限りの草原。

 俺が目を覚ましたのはそんな場所。

 身体は無事。

 手足を動かしてみたが異常なし。


「ここ何処?」


 夏の夕立。

 大学からの帰り、突然降ってきた雨に濡れながら急ぎ帰宅してる途中だったはず。


 ──あ、そうか雷に打たれたのか!


 ずぶ濡れで走っていたら辺りが急に光って‥‥そこから記憶がない。

 

「‥‥‥死んだな、これは死んだ。つまりここは天国だ!」


 天国に行けるような徳を積んでいたとは思えないが、穏やかなこの風景はとても地獄には見えない。


「キュー、キュー!」


 聞き慣れない音に、顔を上げるとブヨブヨした物体が地面を這い近寄って来ていた。


「‥‥‥何これ、気持ち悪!」


 立ち上がりその場から離れようとした時、足に痛みが走る。


「いたたっ!」


 別のブヨブヨの物体が右足に絡みついていた。


「ギャァ! 気持ち悪、離れろ!」


 絡みつかれてない方の足で必死に蹴って剥がし痛む足を見る。

 なんかズボン溶けてない?


「‥‥‥やっぱりここは地獄でした」


 近づいてくる2匹のブヨブヨが、鬼の様に見えた。





「てい!」


 わかった事、このブヨブヨはそんなに強くない。 

 その辺に転がっている石を投げつけたら動きが遅くなった。


「喰らえ! これは俺の大事な服の恨みだ!」


 大きめの石を持ち上げ投げつける。


「キュー!」


 石に潰されたブヨブヨは煙を上げて消滅した。

 


【経験値2 獲得】



 目の前に現れた文字。

 ‥‥‥経験値?

 

「‥‥‥これは、まさか!」


 すぐに石を拾い直しもう1匹に投げつけた。


「キュィー!」


 煙を上げて消えるブヨブヨ。



【経験値2 獲得】


レベルが2に上がった

力2

素早さ1

身の守り1

かしこさ1

魅力1

HP2

MP1

それぞれ上昇

  


「‥‥‥キタコレRPG」


 ここは天国でも地獄でもない、俺はRPGの世界に転移したようだ。

 

 

 

 

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