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 第二部 魔国統一編 最終決戦再び


「ファイナルラウンド! イッツ! ショータイム! カード、オーーープン!」


 カーラの拡声器を奪って声を貼る。最後くらいは僕が仕切る。


 ルシアンとロザリーは裏返しのカードをひっくり返す。ロザリーのカードは2。という事はルシアンの数は12だ。ルシアンはカードを手で隠している。


「往生際が悪いかしら。ルシアンのカードは12。最弱よ最弱。言ったじゃない。ロザリーは小さい数って。ロザリーを信じないから痛い目にあったのかしら。それより、とっととその手をどかして、服を脱いで踊るのかしら!」


 ロザリーはキッとルシアンを睨む。


「嘘か本当か見分けるなんて、やっぱりロザリーは凄いわ」


 ルシアンは落ち着いたもので、ゆっくりと話す。


「褒めても無駄かしら。ロザリーの意思は変わらないわ。お前には借金の形にその着てる服をいただくかしら。そして、レゲェダンスの後は靴でも舐めて貰おうかしら」


「ふうん。じゃ、あたしが勝ったら、ロザリーにも同じ事して貰おうかと思ったけど、さすがにそれはいいわ。ロザリーの貧相な体なんか見ても喜ぶ人居ないだろうし」


「お前、喧嘩売ってるのかしら? とっととその手を離すのかしら」


「はいはい、よーく見なさい」


 ルシアンはゆっくりと手をずらしていく。


 そこに現れたカードは……







 5!!



「なんど、ロザリーはバーーーースト!」


 僕から拡声器を奪い取ってカーラが叫ぶ。


「という事は、ルシアン、ルシアンの勝利てす。その大っきい「バスト」が、自分自身じゃなく、ド貧乳のロザリーを「バスト」させました。バスト、ウエスト、ヒップ。エロエロ完璧ボディのルシアンのしょーーーーーりでぇーーーーす!」


 カーラのみんな一度は頭を過った駄洒落が炸裂する。オヤジかよ。


「「おおおおおおーーーーっ!」」


 ギャラリーがどよめく。


「なんとなんとの大番狂わせ! ですけど、私は、私は信じてました。なぜなら私はルシアンにベットさせて頂いてました。流石はアルカディアのプリンセス。ありがとうルシアン! グレイテスト、ルシアン! マーベラス、ルシアン! これで私の晩ご飯はしばらくエレガントになりまーす!」


 矢継ぎ早にカーラが言葉を紡ぐ。外馬で勝ったのが余程嬉しいみたいだな。お前の飯がエレガントになろうかどうか知ったこっちゃない。どんだけ掛けてたんだよ?


「待って、いかさまよ。いかさま! 確かにルシアンは小っちゃい数って言ってたわ。嘘も絶対についてない。見せて! 見せてカードを!」


 ロザリーはルシアンの手元のカードをひったくり改める。かなりブチ切れてるな。まあ、勝ったお金が無くなったんだもんな。


「上からカードを重ねたと思ったのに。そうね、隠したのね。どこ? どこ? 出しなさいよ」


 ロザリーはルシアンの体をペタペタ触る。ルシアンは余裕なもんだ。ルシアンは腕丸出しだからどこにも隠せる所は無いと思うが。


「あのでっけぇ、胸の谷間じゃねーか」


 ギャラリーからヤジが飛ぶ。


「そうね。そこがあるかしら!」


 ロザリーは問答無用でノータイムでルシアンのブラジャーに手を突っ込む。


「こぼれろっ!」


 また、無責任なヤジが飛ぶ。


 バチーーン!


 ルシアンがロザリーの頭をドつく。


「アンタ何やってるのよ。ばっかじゃないの? そんな所に隠せる訳ないじゃないの」


 ロザリーは手を引くが、惜しい事にルシアンのお宝はこぼれなかった。残念。


「私はいかさまなんて浅ましい真似はしてないわよ」


 ルシアンはそう言うが、ルーレットでめっちゃ浅ましいいかさましてたのは誰だよ!


「じゃ、何で? 何で小っちゃい数じゃ無いのかしら?」


「それは、簡単な事よ。あたしはカードを見てないのよ」


「じゃなんで、小さい数って言ったのよ?」


「そりゃ、ロザリーなんかに大っきい数が来るわけないと思ってたからよ」


「でも、そりゃおかしいでしょ? 実際は5だった訳で、お前の予想は当たってないじゃないの」


「そりゃそうよ。あたしは小っさい数って信じてたけど、あたしが思うように行く訳ないじゃないの。最近負け続けでツイてないあたしの予想が当たる訳ないじゃないの。あたしが小さい数って信じてる時点で、絶対大っきい数が出るって信じてたのよ!」


 なんかルシアンがドヤってるけど、それって自分は運が悪いって言葉を自慢してるわけだよな。そんなドヤるような事なのか?


「という訳で、あたしの勝ちね。お金は全部返してもらうわ」


「はい……」


 ロザリーは今まで見た事が無いくらい落ち込んでいる。なんか肩をすくませて、お祖母ちゃんになったみたいだ。


「けど、ルシアン、お前自信満々だったけど、負けるか勝つか五分五分だったんじゃないのか? 巻けたらどうする積もりだったんだよ」


 ルシアンの裸レゲェダンス、見れなかったのが少し残念だ。


「そりゃ、その時は暴れまくって無かった事にしようと思ってたわよ」


「お前、ひでぇ奴だな」


「冗談よ、多分負けてたら、アルカディアの誇りにかけて、言われた通りにしてたと思うわ。けど、勝ってるでしょ」


「まあ、いいわ。今回はロザリーの負けかしら。まあ元々あぶく銭だから無くなっても痛くも痒くも無いかしら」


 そう言うロザリーの顔は痛くも痒くもある顔だ。


「ほらよ」


 僕はロザリーとルシアンに大金貨を1枚づつ放ってやる。


「俺は先に戻ってるから借金しない程度に遊んで来いよ」


「あ、ありがとう」


「いいのかしら!」


 ルシアンもロザリーもぱあっと顔が華やぐ。

 まあ、何もしないで僕は儲かった訳だし、2人の戦いは面白かったしな。そして、僕はカジノを後にした。



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