表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/74

 7話 次兄との邂逅


「お前、もしかしてアシューか。見違えたぞ、お前、世を儚んで自殺したんじゃなかったのか?」


 俺は洞窟を出て、まずは実家に向かった。面倒くさいので、眠り茸の胞子で、兄さん以外の使用人には眠ってもらった。兄さんは屋敷の執務室で書類に目を通していた。


「誰が自殺なぞするか。兄貴、久し振りだな元気か?」


「口を慎め下郎が、今はお前とは身分が違う。俺の事は伯爵と呼べ。俺は爵位をついでケイン・アルバトロス伯爵となったのだ!」


 ケイン兄さんは口の端を歪める。伯爵ごときになってもしかして嬉しいのか?


『あの、茸王様、あの不遜な輩、今すぐにミンチにしましょうか?』


 俺の心に念話が届く。ルシアンだな。遠視のスキルで状況を見てやがるな。


 俺が自殺したと思ってるって事は兄貴はかたきではない。別に戦う理由は無い。


『ルシアン、手出しは無用だ。家族の事は自分で片をつける』


 俺も念話でルシアンに答える。


『承知致しました』 


 ルシアンからの念話はきれた。


「どうした、恐れ多くて口もきけなくなったのか? ハッハッハ!」


 2年前よりもさらに大きくなった体を揺すって兄貴は笑う。けど、心なしか顔色が良くない。痛風にでもなったのか?


「ほう、そうか良かったな伯爵になれて、達者で暮らせよ」


 俺は兄貴に背を向ける。


「まて、お前は爵位に興味はないのか?」


「あるわけないだろ。俺はアルバトロス、アホウドリの名前は捨てた。俺の名は魔道王アシュー・フェニックスだ。今日の所は見逃してやる。命が惜しければ俺に構うな。あばよ!」


 俺は右手を上げて、兄貴に別れを告げる。


「まてぃ、お前アルバトロス家を馬鹿にしたな。アルバトロスはアホウドリじゃなくて神聖なおおとりだ。お前には兄としてお仕置きが必要そうだな。稽古をつけてやる。修練場に来い!」


 兄貴はそう言うと早足で隣の部屋に行った。面倒くさいが少し付き合ってやるか。俺は修練場に向かう。


「お前、屋敷の者に何をした」


 それからしばらくして、兄貴は板金の鎧フル装備で大盾と剣をもって修練場に現れた。修練と言うよりも実戦する気まんまんだな。


「眠ってもらっただけだ。過労で疲れてたんだろ、みんなグッスリだ。時間がたったら起きる」


「怪しげな技を使いやがって、茸使いなんてくずスキル持ちのくせに生意気な! 重戦士の力見せてやろう。死なない程度に痛めつけてやる」


 兄貴はガシャガシャ鎧の音をたてながら近づいてくる。気合いを入れ剣を横にして上段に振り上げる。


「遅いな、あくびが出るぞ。来い筋肉茸きんにくたけ鎧茸よろいたけ!」


 魔界から召喚された俺用の茸達が体を覆う。筋肉茸が体に根をはり身体能力を飛躍的に上昇させる。鋼より硬く瞬時に自己修復する鎧茸がその上を覆う。


 ここまでする必要はないが重戦士の無力さを思い知らせてやろう。


 ガキーン!


 金属のすれるような音と共に俺の兜に当たった剣が折れる。手加減して腹で叩くからだ。


「なにっ、なんだそれは、俺様のミスリルの剣が……おのれっ」


 ミスリル? そんなの鎧茸にくらべたら粘土のようなものだ。

 兄貴は大盾を振り俺を盾で殴ろうとする。


 ドゴムッ!


 俺の拳が一撃で盾を砕く。


「兄貴、力比べといくとしようか」


 俺は兄貴の両手に己の両手を絡ませる。俗に言う手4つと言うやつだ。


「お前は阿呆か、重戦士に力比べで勝てると思うなよ」


 兄貴が口を歪める。


「何が重戦士だ。お前ごとき、俺の生きて来た世界では1日で魔物のエサになってるぞ」


 俺は少し力を入れてやる。


「グゥワアアアーッ!」


 兄貴は汚い叫び声を上げる。俺は手を回して兄貴を軽く投げる。兄貴は空中で独楽こまのようにクルクルと回り地面に叩きつけられる。


「さあて、お仕置きしてくれるんじゃなかったのか?」


 それから俺は軽く兄貴を揉んでやった。


みやびからのお願いです。




「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、


 広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、


ブックマークの登録お願いします。


 執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ