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 第二部 魔国統一編 特技


「ノーモアベット」


 外馬のベットの終了の声がする。


 あれからルシアンとロザリーはドローを挟みながらも一勝一敗づつして、そして今が最終決戦。ドローじゃ無い限りこれで勝負が決まる。


「デュエル、スタート!」


 そして僕はカードを配る。ロザリーもルシアンもそれを緊張の面持ちで見守る。そりゃ大金がかかってるもんな。


 ルシアンもロザリーも絵札。要は10だ。最終決戦に相応しい数だな。そして2人は裏返しのカードを確認する。


「そうね、ロザリーだったらもう1枚引くかしら」


 まずはロザリーが口を開く。


「小さい数ね。あたしだったらもう1枚引くかな」


 ルシアンもカードの感想を言う。


「じゃルシアンはどうする引くか? 引かないか?」


「そうね。あたしは引かないわ。ロザリーが嘘ついてるって事を信じるわ」


 嘘ついてるって事を信じる。なんか変な信じ方だよな。言葉的におかしくないか? 嘘をついてるって思う事は信用して無い訳で、その信用できないって事を信じるって、要は信じて無いって事じゃないのか? なんかこんがらがるな。


「じゃ、ロザリーはどうするか?」


「そうね。その前に種明かしでもしようかしら。ロザリーはね、特殊能力で目を見た相手が言ってる事が本当か嘘か分かるのかしら」


 え、なんだそりゃ。やっぱり反則なスキルを隠し持ってたのか。けど、はったりなんじゃ。本当なのか?


「お前様、なんか試しに嘘か本当かロザリーが分からない事言ってみて」


「そうだな。俺はロザリーが好きだ」


「ムキー、それは嘘ね。アシュー様ロザリーの事好きじゃないのね」


「いや、好きじゃないだけで、嫌いじゃ無いぞ。可愛いし」


「え、それは本当ね。ロザリーの事、本気で可愛いって思ってるのね。じゃ、ま、いいかしら。愛はゆっくり育めばいいかしら」


 愛を育む事は置いとくとして、え、マジで嘘が分かるのか?


「俺は男が好きだ」


「それは嘘」


「キノコが大好きだ」


「本当」


「トマトが好きだ」


「それは嘘」


「もうソロソロ眠い」


「それは本当」


 マジか? 百発百中だ。これはえげつない。


「え、じゃ、あたしも試してみるわ」


 ルシアンが手を挙げる。


「あたしはロザリーが嫌い」


「それは本当。ムカつく乳牛かしら」


「コウモリが嫌い」


「本当……」


「メスガキが嫌い」


「本当」


「貧乳が嫌い」


「本当」


「縦ロールが嫌い」


「本当」


「ヴァンパイアは臭い」


「本当! きさん、なめとんのか。ロザリーのどこが臭いんじゃ! まだるっこしいわ。今ここで貴様をぶっ殺す!」


 ロザリーがぶち切れて立ち上がる。


「何熱くなってるの? ただのお前の能力の確認だろ。ルシアンはロザリーにこのゲームでは絶対に負けない」


 ルシアンは冷静だ。なんかあのルシアンが頭良く見える。


「え、それは本当。なんでお前はそんなに自信があるのかしら? お前の勝ち目が無い事を教えてやったのに、なんで、そんなに余裕なの? そう、そうかしら。馬鹿、馬鹿なのね。そうね、足りない分のお金はお前に体で払って貰うかしら。何をして貰うか今からが楽しみね。まずはここで、台に登って裸踊りでもして貰おうかしら。ホーッ、ホッ、ホッ、ホッ」


 ロザリーはそのまま仰け反って、手の甲を口に当てて哄笑をぶちまく。相変わらずゲスな奴た。


「ああ、喜んで裸踊りでもなんでもしてやるよ。けど勝つのは私だ。のうがきはそれくらいにして、早く決めろよ。引くのか? 引かないのか?」


「「うおおおおおおーっ!」」


 ギャラリーからどよめきが起こる。客は男が多いし、ロザリーが勝つと思ってる人が多いから期待してるのだろう。


 けど、ルシアンの裸踊りは少し見たいかも。ついルシアンの豊な胸に目がいってしまう。


「お前様は巨乳が好き?」


 ロザリーが僕を見る。


「そんな事ないよ」


「じゃなんで、目を閉じてるのかしら?」


「おかしいな目にゴミが入って」


「ちょっと、2人で遊んでないで、早く決めて!」


「ほらほら、ロザリー、どうするんだよ?」


「何か釈然としないけど、いいかしら。ロザリーが小さい数って言ったのは本当。という事はロザリーの裏返っているカードは2から4かしら。5以上はルシアンは大きい数って今まで言ってたから。あと、今までカウントしてたから、もう山には8以上の数は無いかしら。だからもう1枚引いたらロザリーの勝ちかしら。もう1枚引くわ」


 え、ロザリーは今まで使ってしまったカードを全部覚えてるのか? 頭いいってレベルじゃないだろ。


 果たしてカードは7。


「ラッキーセブンね。これでルシアンの勝ちかしら。そうね、机の上で裸でレゲェダンスでも踊って貰おうかしら」


 それはえげつない。レゲェダンスって確か逆立ちして足を開いて踊る奴だよな。そんな事したらルシアンはもはや王女じゃ無くてただの痴女だな。国民誰も言うこと聞かなくなるんじゃ?


「そうね、レゲェダンスでもなんでも踊ってあげるわよ。ただしあたしが負けたらね。ところでレゲェダンスって何?」


 知らないのかよ。


「後でロザリーが手取り足取り教えるかしら」


 もうロザリーは勝った気だな。僕もロザリーの勝ちを疑わないけど、なんでルシアンはあんなに落ち着いてるんだ?




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